ヒロアカaqua


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慌てて客席に上がると、焦凍くんの言った通りようやくメンテナンスが終わった所らしい

待ってる間幼馴染2人はステージ上で言い合いをしてるみたい
試合前にもやることはいつもと変わらないようで苦笑いしかでない

「唄、ここ座れ」

「ありがとう」

近くの空いていた席に焦凍くんが案内してくれ、腰掛ける

『準決勝第2試合!

実はこの二人幼馴染らしいぜ、燃えるなオイ!

舞羽唄 対 爆豪勝己!START!!!』

爆豪くんはまずは右の大振り
それをすかさず避けて羽を大きくし、撃つ

『舞羽が先にダメージを与える!!!』

そして次の瞬間、爆破を繰り返して瞬時に唄ちゃんの目の前へ迫る

「ぶっ飛べぇえ!」

唄ちゃんの顔に向けて爆撃を放った爆豪くんに慌てて至近距離で音波を放った唄ちゃん

「が、顔面…」

「怪獣大決戦みてえだな、あの2人」

「(怪獣…)」

確かにめちゃくちゃな2人だからその表現はある意味正しいかもしれない
容赦ない攻撃に他の観客たちも唖然として2人を見てる

『オイオイマジかよ、コイツらお互いに顔面に向かって個性ぶっぱなしたぞ…お前の教育どうなってんだよ!』

『こいつら幼馴染だから手の内互いに知ってるようなもんだ、あいつらの頭にあるのは勝利のみ…その結果顔面爆撃じゃねえか』

『いや、わかんねえよ』

『俺もわからん』

煙が晴れる前に音の跳ね返りで爆豪くんを見つける唄ちゃんは羽を硬化させ突っ込む

ドッと巻き上がる土煙で何が起こっているのか分からないでいる観客たち
フィールドの煙が晴れた頃、唄ちゃんは爆豪くんに馬乗りになられていた

「チキショー!!!爆豪羨ましい!!」

「落ち着け峰田ああああ」

少し離れたA組の席で峰田くんが叫んでいるのが聞こえた
峰田くんほんとブレないねぇ…

「歯ァ食いしばれや」

唄ちゃんはすかさず羽を硬化させ顔面の前に覆うように持ってくるが、爆豪くんの爆破が炸裂した
しかしそのダメージは羽の反射により爆豪くん自身が受けた様子

『ここで舞羽のカウンター炸裂ゥ!爆豪苦戦しているぞ!』

これにより爆豪くんの苛立ちがさらに積もる

「この鳥野郎がァァア!」

唄ちゃんに向かって跳んでいく爆豪くん
正直ここまで声は聞こえないはずなのに、爆豪くんずっと叫ぶから聞こえてしまうんだよね
唄ちゃんは構えるものの、爆豪くんはすぐさま視界からフェードアウト
その後背後から爆破する
これは対人戦闘訓練のときに緑谷くんに見せた技だ

「立てや!」

徐々に汗をかいてきたのか、コンディション最高な爆豪くん

唄ちゃんは羽をはためかせ宙に浮く
すぐさま間合いを詰めてきた爆豪くんに飛んで逃げる

「待てやァァ!!」

「顔怖すぎぃい!」

まるで狼と兎
流石に焦凍くんも可哀想と思ったのか「爆豪…あいつ顔ヤベーな」と呟いた
逃げ惑う唄ちゃんを追いかける爆豪くんはまさにヴィランだ

『ここで形勢逆転!舞羽ピンチか!?』

しかし唄ちゃんは地面に落ちていた瓦礫目掛け羽を撃つ
これは三奈ちゃんの時に見せた煙幕作戦だろう
そうすれば先手を取れる上に土爆豪くんからのカウンターを封じることもできる

「ナメてんのかテメェ!!」

けれど爆豪くんはその技をもう三奈ちゃんとの試合で見ていた
一度見たものには対策を練る、それが爆豪くんを強者たらしめている所以

「ぶっ飛べ!!」

お腹を殴ると同時に爆破させた爆豪くん
唄ちゃんはそのまま吹っ飛ばされる

『モロだぁああー!!!!』

「俺相手に他のやつに使ったのと同じ技だァ?随分余裕じゃねェか!!」

地面に手をついてふらつく体を支えるように立ち上がった唄ちゃん
咳き込みながら顔を上げた彼女、しかしその目の前には爆豪くんの手

次の瞬間、凄まじい爆発音と共に唄ちゃんが場外へふっ飛ばされた

『や、やりやがったああああ!!!!爆豪顔面爆破!!!』

「舞羽さん場外、よって爆豪くん決勝進出!」

恐ろしい闘いだったと息を吐くと焦凍くんはグラウンドの爆豪くんを眺める

「(そっか、次は2人の試合…)」

グラウンドへ目を向けると爆豪くんと唄ちゃんがなにか話し込んでいる様子だった
唄ちゃんの顔面爆破事件はかなりの生徒にヘイトを生んだらしく、後々も語り継がれることになったとか












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