ヒロアカaqua


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敵の対オールマイト用の脳無と交戦を繰り広げるオールマイト
そのオールマイトを囲むように広がる黒い霧

「オールマイトォ!!!!」

飛び出した緑谷くんよりも早く黒い霧を操る敵に攻撃したのはどこからともなく飛んできた爆豪くん

「どけ!邪魔だ!デク!!!」

黒霧と呼ばれる敵をねじ伏せ、地面に押さえ付ける
それと同時に脳無が凍る、これは焦凍くんだ

「てめぇらがオールマイト殺しを実行する役とだけ聞いた」

そして主犯格の死柄木に掴みかかるのは切島くん、しかしそれは避けられてしまう

「スカしてんじゃねぇぞモヤモブが!!」

「平和の象徴はてめぇら如きに殺れねえよ」

「かっちゃん…みんな!」

一気に戦況が変化し、死柄木は黙り込む
しかしそれもつかの間、すぐに状況を把握したのかピンチだと告げた

黒霧を押さえ付ける爆豪くんがヴィランばりの悪い笑顔を見せる

「(なにあれ、めちゃくちゃ怖い)」

ヴィランよりもヴィランらしいその表情にゾッとしてしまう

「このウッカリヤローめ!やっぱ思った通りだ!
モヤ状のワープゲートになれる箇所は限られてる!そのモヤゲートで実体部分を覆ってたんだろ!?そうだろ!?
全身モヤの物理無効人生なら危ないっつー発想は出ねえもんなぁ!」

爆豪くんはああ見えて…本当に見かけによらず頭が良く切れる
冷静に状況も見れる上に制圧する実力もある、センスの塊だ

「攻略された上に全員ほぼ無傷…すごいなぁ最近の子どもは…恥ずかしくなってくるぜヴィラン連合
脳無、爆発小僧をやっつけろ…出入口の奪還だ」

死柄木がそう告げると、焦凍くんに凍らされた部分を捨ててまで起き上がる脳無

「みんな下がれ!なんだ!?ショック吸収の個性じゃないのか!?」

「別にそれだけとは言ってないだろう、これは超再生だな
脳無はおまえの100%にも耐えられるように改造された超高性能サンドバッグ人間さ」

脳無は爆豪くんへ殴りかかる、爆風と共に爆豪くんは飛ばされたかに見えた
しかし、彼はいつの間にか私たちと同じ安全な位置にいる

「避けたの!?すごい!」

「違えよ、黙れカス」

爆豪くんは直前にオールマイトに庇われたらしい

その後、脳無の反撃を許さないパンチを繰り出したオールマイトに呆気にとられる私たちはその場を離れようとする
仮に死柄木が私たちを人質に取ると状況が悪化するためだ

唄ちゃんを支えてその場を離れようとするものの、緑谷くんだけが動かないでいる
その視線の先にはオールマイト

「出久…?」

唄ちゃんの呟くような声にハッとした
その時既に緑谷くんはオールマイトに襲いかかる敵に殴りかかろうとしていた

「オールマイトから離れろ!!」

即座に応戦してくるヴィラン
しかし、死柄木の手に銃弾が撃ち込まれる

入口に目を向けるとそこにはプロヒーローの先生たちがいた

「あーあ来ちゃったな…ゲームオーバーだ、帰って出直すか黒霧」

そう言って去ろうとする死柄木は血走った目でオールマイトを見据えた

「今回は失敗だったけど…今度は殺すぞ、平和の象徴オールマイト」

そう言ってワープゲートの先へ消えた死柄木
彼らが立ち去ったのを実感して思わずその場にへたりこんだ、今になってドッと疲労が現れる

「雫ちゃん、大丈夫?」

不安そうにこちらを見つめる唄ちゃんに軽く微笑んで力なく頷いた

「うん、ちょっと力が抜けちゃっただけだよ」

きっとこれは宣戦布告だ、奴らはまた襲ってくる
それまでに力をつけないと

「…頑張らなきゃ」

「え?」

唄ちゃんの呟きが聞き取れなくて聞き返すけれど彼女はいつもの屈託ない笑顔を浮かべた

「ううん、何でもない
助けてくれて本当にありがとう!」

その後、リカバリーガールに治療してもらい一同は帰路につく
焦凍くんは何か言いたげに私を見ては目をそらしてを繰り返しているけれど、なんだろう

「焦凍くん?」

「…あんま無茶すんな」

多分焦凍くんが言ってるのは唄ちゃんを助けようと飛び出した時のこと
考えるよりも早く動いてしまったのは自分らしくない、けれどあの時動かなかったらと思うと判断は間違っていたとは思わない

「ごめんね、でも私後悔はしてないよ」

「別に責めてねぇよ、怪我してないならそれでいい」

「うん、心配してくれてありがとう!」

そう告げ再び歩き始める
今日は唄ちゃんを助けられたのはたまたまかもしれない

「(もっと強くなりたい)」

大切な家族、友達、そして焦凍くんも守れるような強さがほしい

そのためにも立ち止まってなんかいられない
私はヒーローになるんだから









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