ヒロアカaqua


▼ 16



第2回戦は焦凍くんと障子くんのヒーローチームと、透ちゃんと尾白くんのヴィランチームの試合
開始と同時に焦凍くんは障子くんを外へ出し、建物全体を凍らせた
圧勝するその姿に何故か私まで誇らしくなる

「ねえ雫ちゃん、あの轟くんって子凄すぎない?!」

唄ちゃんもびっくりしたようで目を丸くさせてそう告げた

「うん、やっぱり凄いよね焦凍くん」

それから次々と試合は進み、いよいよ最終試合
私たちの番が来た、ヴィランチームらしい
相手は瞬殺されたからリベンジってことで尾白くんと透ちゃんだ
建物に入って5分後にヒーローチームはやってくる

先に建物に入って唄ちゃんと作戦を練りつつ所定位置へと向かうことにする

「どういう作戦でいこうか」

「そうだなぁ、尾白くんはあの強力な尻尾を何とかしないと…パワー戦はこちらが不利だし、透ちゃんはまずどこにいるかを探らないといけないし…」

うーんと考える唄ちゃん、ここに来る前に彼女の個性は聞いた
少し考え閃いた一つのアイデア
うん、これならいける、ニッコリと微笑むと唄ちゃんは首を傾げる

「私に考えがあるの」




数分後、建物に侵入してきたヒーローチーム
唄ちゃんの個性は羽だけじゃない
入試の時にギミックを止めてみせた音波の個性もある
何ができるのかは先ほど聞いていた
超音波の要領で音の跳ね返り等をキャッチし相手の位置を捕捉することができるらしい
それを利用して透ちゃんの場所を捉える

『透ちゃんは3階、尾白くんは今4階にいる』

「わかった、なら唄ちゃんはそのまま透ちゃんを捕捉して、私は尾白くんを捕らえる」

そう無線で告げた時、5階の扉が開いた
やってきたのは尾白くん

「海色さん、悪いけど力づくで行かせてもらうよ」

やっぱりパワー戦に持ち込んできたと、読みが当たり息を一つ吸う

「残念だけどそれはできないと思うよ、尾白くん」

すっと手を一振りすれば空気中の水分が集まり私の手のひらで水泡を形成する
こうやって水泡にするだけなら水系の個性の人は簡単にできる
けれど私は最強格と言われている個性

手元の水泡を投げつけ、避けて宙に飛び上がった尾白くんに集中する

この部屋に踏み入れた時点で私の勝ちは確定していた、空気中の水分は全て私の支配下だ
水蒸気として存在している水分を尾白くんを囲むよう固めていけば、一瞬で尾白くんを囲む氷の鳥籠のようなものが形成された

「こんなもの壊して…っ!?」

着地した尾白くんが尻尾で攻撃するも、壊れたところはすぐさま再生する

「はい、捕獲」

「うわっ!」

水のリングを作り、尾白くんの手足を縛ったらあとはこっちのものだ
近づいて確保テープで捕縛する

「ヴィランチームWIIIIIN!!!!」

どうやら唄ちゃんの方も無事に終わったみたい
尾白くんの捕縛テープを解いて2人で下の階に向かう

「さっきのだけど、どうして水泡を出したの?」

「え?」

声をかけてきた尾白くんに先ほどの初動を思い出す

「だって尾白くんはパワー系でしょ?
いきなり檻を作っても尻尾を使って跳び上がるとか私の氷よりも早く動く可能性があった
だから体勢を崩すためにも、捕獲を確実にするためにも宙に浮いてもらったの」

そう告げれば、彼は驚いていた
4階に降りれば透ちゃんと一緒にいる唄ちゃんが目に入る

「唄ちゃん」

「雫ちゃん!」

ぱああっと顔を輝かせた唄ちゃんの背中で羽がぴょこぴょこ動く

「お疲れ様!」

「…2人とも強すぎない?」

私たちを見て苦笑いした尾白くん
強い、それは何を持っていうのかはわからない
でも私は必要な努力はしてきたという自信がある

唄ちゃんも同じだ、まだ個性に振り回されている節はあるけれど
何より戦闘を楽しんでいる、私が考えて動くタイプなら彼女は動いて考える方

「(唄ちゃんといると学べることがいっぱいだなあ)」




その後講評を聞いたものの、百ちゃんからもオールマイトからも賞賛されなんだか恥ずかしい気持ちになった

「雫」

「あ、焦凍くん」

授業終わり、更衣室に向かって歩いていると名前を呼ばれた
お疲れ様と声をかけると、焦凍くんは「上手く使いこなせてた」と褒めてくれる

「ありがとう、けどまだ造形までの時間は縮めれると思うから訓練しなきゃ」

もっとできる、もっと完璧に
そうすることで理想のヒーローに近づける、両親を安心させられるんだから









prev / next



- ナノ -