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開始数分後
いきなり奇襲をしかける爆豪くん
凄まじい勢いで爆破し、緑谷くんのコスチュームの頭部分の左半分が吹っ飛んだ
生憎音声はオールマイトのみにしか届かないけれど爆豪くんが怒っているのは伝わってくる
「(攻撃が荒々しい…苛立ってる?)」
爆豪くんが大きく振りかぶった、しかしその攻撃を読んでいたかのように緑谷くんはその腕を拘束しそのまま爆豪くんを投げ飛ばした
投げ飛ばされたことで爆豪くんの怒りメーターが上昇したらしい、益々苛立っているのがモニター越しでも分かる
「荒いな」
隣で焦凍くんがポツリと呟いた言葉に頷く
「完全に私怨だね」
爆豪くんはすぐさま緑谷くんに襲いかかる
しかし、緑谷くんは確保テープでその足を捕縛した
焦った爆豪くんは右の大振りを炸裂させるも緑谷くんはまたしても回避する
そして作戦を立て直すため一度撤退
それを追いかける爆豪くんの気迫にモニタールームも静まり返っている
「なんかすっげーイラついてる」
上鳴くんの言う通り爆豪くんは今冷静さを欠いている
しばらくしてターゲットを見つけたのか、爆豪くんはコスチュームの籠手に手をかけた
「爆豪少年ストップだ!殺す気か!」
オールマイトの言葉虚しく、爆豪くんは不敵に微笑んだままピンを引き抜いた
瞬間、凄まじい爆破が起こり、建物全体が揺れる
緑谷くんは無事みたいだけど、これは流石にまずい
「先生止めた方がいいって!爆豪あいつ相当クレイジーだぜ!殺しちまうぜ!?」
クラス中から静止の声が挙がる中、オールマイトはマイクを持って向こう側のスピーカーと繋いだ
「爆豪少年、次それ撃ったら強制終了で君らの負けとする
屋内戦において大規模な攻撃は守るべき牙城の損壊を招く!ヒーローとしては勿論ヴィランとしても愚策だそれは!大幅減点だからな!」
即ストップしないのには何か考えがあるからなのか分からないけど、戦いは続く
爆豪くんは戦い方をすぐさま殴り合いに変えたようだ
緑谷くんの目の前で爆破を起こし背後に周りさらに爆破を起こし彼を背後から殴る
「目くらましを兼ねた爆破で軌道変更、そして即座にもう1回…考えるタイプには見えねぇが意外と繊細だな」
「慣性を殺しつつ有効打を加えるには左右の爆発力を微調整しなきゃなりませんしね」
「才能マンだ才能マン、ヤダヤダ…」
焦凍くんと百ちゃん、そして上鳴くんの言う通りだ
爆豪くんは自信家だし荒いけれど、その実力は本物だと思う
尚も緑谷くんを一方的に殴っている爆豪くんの様子に唄ちゃんの顔が青ざめていく
「リンチだよコレ!テープを巻き付ければ捕らえたことになるのに!」
「ヒーローの所業にあらず」
「緑谷もすげえって思ったけどよ…戦闘能力において爆豪は間違いなくセンスの塊だぜ」
「しかし変だよな…爆豪の方が余裕なくね?」
2人は真正面から殴り合いの体制に入っている
でもそれと同時に、お茶子ちゃんが動き始めた
緑谷くんは爆豪くんではなく上の階に向けて個性を放った、その衝撃で舞い上がった瓦礫たちをお茶子ちゃんが支柱を使って打ち込み核に触れる
「ヒーローチームWIIIIN!!!!」
煙が晴れた緑谷くんは爆豪くんの爆破を避けるように左腕でガードを取っていた
4人が帰ってきて講評がはじまる
緑谷くんはそのままリカバリーガールの元へ搬送されてしまったけれど
ちなみに講評は百ちゃんがしてくれるみたい
「爆豪さんの行動は戦闘を見た限り私怨丸出しの独断、そして先程先生も仰っていた通り屋内での大規模攻撃は愚策、緑谷さんも同様の理由ですね
麗日さんは中盤の気の緩み、そして最後の攻撃が乱暴すぎたことハリボテを核として扱っていたらあんな危険な行為できませんわ
相手への対策をこなし且つ核の争奪をきちんと想定していたからこそ飯田さんは最後対応に遅れた
ヒーローチームの勝ちは訓練だという甘えから生じた反則のようなものですわ」
百ちゃんが言ってくれたけど、あまりにも身勝手な試合
その言葉にそれぞれが反省し、第1回戦が幕を閉じた
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