ヒロアカaqua


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クレイド国のホテルのロビーにて共用パソコンを借りた私たち6人
緑谷くんの指名手配はあくまでオセオンのことなのでこちらではこそこそする必要はない
SDカードを差し込むと膨大な数のファイルが表示された

「うわっ、すごい数…どこから調べれば…」

「どけ!タイムスタンプの最新…この動画ファイルだ」

パソコンの扱いもお手の物の爆豪くんがカタカタと操作し1つのファイルをクリックした

『私の名はアラン・ケイ
ヒューマライズに拉致された科学者の1人だ』

「拉致?」

団員と思っていたのに拉致されたという言葉に一同は目を見開く

『ヒューマライズは多くの科学者たちの家族を人質に取り、個性因子誘発爆弾の製造を強要した
それを使った最初の無差別テロは優秀なヒーローたちをヒューマライズの支部がある場所に集めるための布石
その上で個性因子誘発爆弾を使い、そのヒーローたちを根絶やしにしようと考えている』

予想外だった
トリガー・ボムでのテロはヒーローたちを罠にかけるための餌
集まって来たヒーローを狙ったフレクトの罠だった

『トップヒーローたちを失った社会は崩壊…その混乱に乗じて個性能力者を絶滅させ、無個性者のみの世界にする
それがヒューマライズの…フレクト・ターンの真の目的だ
私のこの声がヒーローに届くことを望む、そして私と同じく拉致されたエディ・ソウルが命にかえて作ってくれた爆弾の解除キーで…どうか世界を救ってほしい』

個性社会を根本から崩す計画に唖然としていると、背後から女性の悲鳴が上がった
振り向けばそこにはテレビに映る緊急ニュース

『繰り返しお伝えします、人類救済を標榜する団体ヒューマライズが世界各地に爆弾を設置
2時間後…リアルタイムで1時間52分後爆破するという犯行予告を出しました
ヒューマライズが公表した爆弾設置区域はパニックが発生しており、ヒーローたちが避難誘導及び爆弾回収作業にあたっております、爆弾の該当地域は次のとおりです』

切り替わった画面
そこには世界25箇所の該当地域が記されている

「嘘だろ…オセオンの被害地域…俺ん家も入ってやがる…!」

「そんな…!」

ロディくんのことはここに来るまでに少し聞いた
弟と妹と3人で暮らしていると…ということは今頃2人は状況も分からず怯えているのかもしれない

「統括本部にこの情報を送ってヒーローチームの撤収を」

「するわけねーだろ」

パソコンを操作する焦凍くんに爆豪くんは悔しそうに呟く
それに緑谷くんも頷いた

「ヒーローはトリガー・ボムを探し続ける、たとえ爆弾の標的が自分たちだったとしても…罠だと分かっていても…救いを求めている人たちがいる限り…その人たちを置いて逃げるなんてこと、ヒーローなら絶対にしない…そこまで考えての作戦なんだ」

ヒーローの気持ちを利用した作戦に怒りがこみ上げる
私たちはまだヒーローのヒヨっ子…けれどヒーローになるため必死に努力している
命が懸かっている現場も何度も見てきた

人の命を弄ぶようなやり方は絶対に許せない

「だったらその解除キーでトリガー・ボムを止めるまでだ」

焦凍くんの言う通りだと思う
けれど方法が思い浮かばない

「でも、どうやって…?」

「どけ!」

焦凍くんを押し除けた爆豪くんが凄まじい勢いでパソコンを操作し始めた

「答えはこン中にあるに決まってんだろーが!鍵を作っておいてドアの位置を報せないアホがいるか!」

相変わらずのキレッキレの観察力とそれを可能にしてしまう地頭
そしてパソコンの複雑な操作もお手の物な才能っぷりに呆気にとられてしまう
するとパソコンの画面に映ったのはテレビに映っているのと同じ該当地区が表示されたもの

「犯行声明にないポイント…」

「ここだ!」

1箇所だけテレビの表示には無いポイントを見つけ指差す
それを爆豪くんがクリックするとその地域が拡大されていく

「ここがクソどもの本拠地!」

「かっちゃん、トリガー・ボムの制御システムは?」

「やっとるわクソナード!」

パソコンに映し出されたのはヒューマライズの本拠地らしき建物の製造データ
その最下層に制御システムがあることが判明した

「一番奥の地下…」

「場所はわかったが、ここから直線距離で400q以上ある…」

遠すぎるその場所になす術がないと考え込む一同
するとロディくんが「間に合う、俺に考えがある」と告げた







ロディくんが操縦する中型のプロペラ機
その中でコスチュームに身を包んだ私たち5人は迫るその時を待っている
先ほどのホテルで統括司令部にはトリガー・ボムの解除キーを入手したこと、ヒューマライズの隠し施設へ向かうことを報告している
おそらく全世界のヒーローチームにこのことは伝わっているだろう

「必ずトリガー・ボムを止める」

焦凍くん

「イカれたクソどもをブッ潰す!」

爆豪くん

「絶対に守るんだ、ヒーローたちを…世界を!」

緑谷くん

「私たちがやらなきゃいけない」

唄ちゃん

それぞれが気合を入れる中、私は4人を振り返る

「準備はいい?」

その問いかけに全員が返事をした
今この場の5人の手に世界の命運が懸かっているなんて誰が想像できるだろう
けれど残念ながら事実である

それから1時間ほど飛行した時、ロディくんの「近いぞ!」という言葉が聞こえた

「あそこが本拠地…!着陸するから掴まってろ!!」

そう告げこちらを振り返ったロディくん
けれどその目にはハッチを開ける緑谷くんの姿

「ロディはこのまま引き返して!」

「何でだよ!?」

抗議の声を上げるロディくんに私たち5人は各々が口を開く

「パンピーは大人しくしてろ」

「大丈夫だよ、信じて」

「必ず止めてみせるから」

「ここから先は…」

「「「「「ヒーローの仕事だ!!/だよ!!」」」」」

直後、一昨日の晩同様、プロペラ機からダイブする私たち
気がついたヒューマライズの団員がこちらへライフルを撃ってくる

「ザコどもは引っ込んでろ!」

「同感!」

珍しく意見が一致した爆豪くんと共に迎撃し蹴散らしていく
けれどその時私たちに向けて撃ち込まれたのは大きな弾丸

「っ、個性持ち!」

眼下には腕を大砲にしているヴィランの姿
着地した焦凍くんがヴィランへ炎を向けると、その傍らで息を吸い込んだヴィランへ唄ちゃんが音波の個性を放った

「っ!音波か!!」

彼女と同じ個性を相殺する唄ちゃん
すぐに緑谷くんが音波のヴィランを吹き飛ばす

「かっちゃん!」

「わーってらあぁ!!!」

建物に近づく私たちを必死に食い止める団員たち

「爆豪、ここは任せた!」

「指図すんじゃねえ!!」

焦凍くんが緑谷くんと共に建物内に突入していくのが見える
それに続き飛んだ唄ちゃんへ向かう攻撃を迎撃し、彼女の行手を死守する

「雫ちゃん」

「ここはいいから2人をお願い!」

「わかった!」

緑谷くんと焦凍くん
無茶をする2人を唄ちゃんへ託し、この場に残った私と爆豪くん

「テメーも行けや!」

「そういうことはもっと余裕で圧勝してから言ってよね!」

人数が多く苦戦を強いられていると突如私の頭上に無数の瓦礫が出現した

「泡女!!!」

「っ!!」

まるで体育祭で見たお茶子ちゃんの奇襲のような光景に一瞬反応が遅れるけれど完全液状化することで攻撃を逃れる
何が起こったのかわからない私の目の前に現れた人物はとても冷たい瞳でこちらを見下ろしていた

「子供を手に掛けるのは少々不服だが…仕方ない」

女ヴィランそう告げた直後、私目掛け巨大な柱が飛んできた
死角からだったこともあり攻撃を受けてしまった私はかなりの距離を吹き飛ばされる
おかげで爆豪くんから引き離されてしまった

「(どういう個性…?)」

突如現れる物体
私の空間把握よりも先に繰り出されるそれに眉を顰めた









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