ヒロアカaqua


▼ 136



1月中旬 今日は始業日


「明けましておめでとう諸君!
今日の授業は実践報告会だ、冬休みの間に得た成果・課題等を共有する
さあみんな、スーツを纏いグラウンドαへ!」

飯田くんの連絡を聞きみんながコスチュームの入ったアタッシュケースを持って更衣室へ向かう

「お茶子ちゃんコスチューム変えたねえ!似合ってるねえ!」

透ちゃんの言葉を聞いてそちらを見ればヘルメットがなくなっていた

「わあ、可愛い!ウサギみたい!」

目をきらきらさせて告げる唄ちゃん
その傍で響香ちゃんが腕の装備を持ち上げる

「コレ重!!!」

「ワイヤー入っとる、私の個性なら重さハンデにならんから」

お茶子ちゃんの言葉になるほどなあと感心していると三奈ちゃんがお茶子ちゃんのベルトに触れた

「こっちは何が…」

「あーーーー!!!」

ぽとんと落ちたのはオールマイトのぬいぐるみ
女子一同の視線がそちらに向けられた

「これって…」

見覚えのあるそれに首を傾げると、三奈ちゃんが顔を輝かせた

「やはり!」

「違うの芦戸ちゃん!本当に…違うんだ
これはしまっとくの」

はしゃぐ三奈ちゃんにそう告げたお茶子ちゃんは何だか吹っ切れたようにも見える
何となく心配になって、グラウンドへ向かう途中でお茶子ちゃんの傍に寄った

「ね、大丈夫?」

一瞬何のことかわからなかったのか、お茶子ちゃんは目をぱちぱちさせた後で納得したように眉を下げた

「うん、心配してくれてありがとう」

無理してないなら良い
そう思って私も眉を下げた

グラウンドに集まった私たちは各々事務所ごとにロボと戦闘を行い学んだことを発表していくもの

みんな次々と発揮していき私たち5人の番

「底上げ」

凄まじい速さと攻撃力で爆破していく爆豪くん

「全力の維持」

宙を舞いながらトップスピードで縦横無尽にロボを撃破していく唄ちゃん

「スピード」

氷結と炎両方を使用し瞬く間に撃墜した焦凍くん

「常態化」

捉えたロボ1機1機を捕らえる渦潮を作ってその威力で無力化した私

「経験値」

黒鞭を使用し確実に仕留めた緑谷くん

No.1のエンデヴァーの下で学んだ1週間は確実に私たちを成長させていた

「おいバクゴー!てめー冬を克服したのか!?」

「するかアホが!圧縮撃ちだ!!」

「舞羽もトップスピード維持できてる!」

「でしょー、頑張った!」

響香ちゃんにピースした唄ちゃん
元々羽を未使用の時にしか出せなかったトップスピードが維持できるようになったとのこと

「轟くんついに速いイケメンになっちゃったねえ」

「いや…まだエンデヴァーには追いつけねえ」

「雫!威力随分上がりましたわね!」

「うん、まだ練習中だけどね」

百ちゃんにそう返事した時、後ろで緑谷くんの黒鞭のことを話していたのでそちらに耳を傾ける

「麗日さん!ちゃんと使えるようにしたよ!あの時は本当に…ありがとう!」

「いつの話をしとるんだい!
あんね!あれがきっかけでこのワイヤー導入したの、短いし瀬呂くんみたいな使い方はできんけど…
私はとっくに力に変えた!お互い向上したってことで!」

「ありがとう…!」

拳を合わせる緑谷くんとお茶子ちゃん
そっか、お茶子ちゃんは緑谷くんへの気持ちを糧に頑張ってるのかもしれない
彼みたいになりたいという憧れを強さに変えている

全員の報告が完了し、オールマイトはみんなを見る

「みんなしっかり揉まれたようだね、録画しといたから相澤くんに渡しておくよ!
引き続きインターン頑張ってくれ!更なる向上を」




ーーーーーーー
ーーー




その日の晩、寮ではインターン意見交換会と気合入魂を兼ねて鍋パを開くことになっていたので準備していく
いつものように調理担当として砂糖くんとキッチンで具材を切っていれば、焦凍くんがやってきた

「雫、なんか手伝うことあるか」

「あ、じゃあニラ切ってくれる?」

「分かった」

その後しばらくして帰ってきた幼なじみトリオ

「何してたんだ遅ェーよ謹慎トリオ!」

「早く手伝わねーと肉食うの禁止だからな!!」

「それは困るー!」と唄ちゃんがキッチンに向かってくるので切り終わっていた具材を机に運んでもらうことにした
何が何でも包丁を持たせてはいけない

「肉を禁じたらダメに決まってんだろが!イカれてんのか!!」

「ええ…」

「ヤベェ人じゃん」

「嫌なら手伝えよー」

爆豪くんが渋々こっちにやってきて切ったものを見ていく
するとニラを見た途端表情が一変した

「ニラ切った奴誰だ!!」

「俺だ」

「姉ちゃん泣くぞ!!」

爆豪くんの手には絶妙に繋がったままのニラ
そっか、焦凍くん料理はできないんだね、オッケーわかった、これから唄ちゃんと同格で考えるようにする

「クソが!」

文句を言いつつトトトトッとリズミカルに切っていく爆豪くんについでと言わんばかりに他の食材もお願いすることにした

「あ、それ終わったらこっちもお願い」

「泡女テメェ…俺に指図たァ良い度胸じゃねェか!」

「はいはい、口じゃなく手を動かしてねー」

「ぶっ殺すぞ!!」

私たちのやりとりを見ていた上鳴くんがケラケラと笑う

「海色って意外と爆豪とバチバチだよな!」

「バチってねぇわ!余裕で俺の圧勝だわ!!!」

「何でも器用にできるってところは爆豪も海色も変わらねーもんな」

なるほど、私的には神野の一件で同じ罪悪感を抱えた者同士話しやすいくらいの感覚だったけれど周りからはそう見えてるんだ…チラッと爆豪くんを見れば思いっきり中指を立てられた
絶対仲良くできる自信ない




準備が整い全員が机を囲んだのを見て飯田くんが立ち上がった

「では!「インターン意見交換会」兼「始業一発気合入魂鍋パだぜ!!!会」を始めようーーー!!」

クリスマス会を思い出しながらみんなわいわい盛り上がる

「海色、お前やっぱ料理上手ぇな!」

「本当?ありがとー」

褒めてくれた切島くんににこりと笑えば、隣の爆豪くんがケッと言いつつも私の味付けした鍋を食べている
料理上手な爆豪くんのお気に召したならちょっと自信がついたかもしれない

「暖かくなったらもうウチら2年生だね」

「あっと言う間ね」

「怒涛だった」

近くにいたお茶子ちゃんたちとうんうんと話していると、透ちゃんが「後輩できちゃうねえ!」と嬉しそうに言う

「ヒーロー科部活ムリだからあんま絡みないんじゃね」

「有望な奴来ちゃうなァやーだー!!!」

後輩ができることに喜ぶ人もいれば嘆く人もいる
私としてはどちらでも構わないけれど、みんなと過ごす2年目は楽しみでしかない

「君たち!まだ約3ヶ月残ってるぞ!期末が控えてることも忘れずに!!」

「やめろ飯田!鍋が不味くなる!!」

「味は変わんねェぞ」

「おっ…おまえそれもう天然とかじゃなくね…!?」

焦凍くんの言葉にギョッとした峰田くん
けれど響香ちゃんが鍋をよそいながら笑った

「皮肉でしょ、「期末慌ててんの?」って」

「高度!!!」

そんな騒がしい峰田くんにみんなが笑顔になる

こんな平和な日々がこれからも続けばいい
そう思っていたのは私だけじゃないはずだ









prev / next



- ナノ -