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実技試験から1週間後、
雄英から届いたのは合格通知だった
両親は感動のあまり泣いていたし、焦凍くんにもすぐに電話した
やっぱり、実技試験には仮想ヴィランを倒すと貰える敵P以外に、人助けをした際に採点される救助Pというものも存在していたらしい
私と唄ちゃんのギミック討伐は周りの受験生を救ったか何かで、かなり高得点を貰えていた
あのギミックに立ち向かう人は何人かいたそうだけれど、行動不能にする人はなかなかいなかったらしい
今年は別の会場で1人だけギミックを倒した人がいるとも教えてくれた
このポイントの合計値が今回の入試の総合Pとなり、例年一般入試の合格者は36名だが今年は特例で40名となった
ヒーローは人が足りてないため定員を増やしてみてはどうかという声があるらしい
そこで今年は試験的に適用されたというわけだ
そして中学の卒業式
卒業生代表で答辞を読む成績が学年1位の男の子
両親もこの場には来ているし、先ほどチラッと見えたけどエンデヴァーもいた
彼に会うのは久しぶりなので会釈だけしておいたけど、焦凍くんがあれだけ嫌っている上に両親に有無を言わせず強制的に許嫁の契約を履行したような人だ
仲良くするつもりは毛頭ない
式も終わり、桜の木の下で友達たちと写真を撮っていると1人の男の子がやってきた
「あの、海色さん」
「え?」
声をかけられてキョトンとしていると友達たちはニヤニヤとしてる
ああ、その反応まさかこれって
「話したいことがあるんだ、ちょっといいかな」
「(これは多分告白だ)」
私も今まで告白されなかったわけじゃない
自慢じゃないがわりと好意を持ってくれる人は多かった方だとも思う
少しだけ友達たちから離れたところで男の子と向かい合う
この子は一生懸命に告白してくれているのに私は他人事のように眺めているだけ
「海色さん、今までずっと好きでした…卒業しても忘れられない、俺と付き合ってください!」
私も焦凍くんが好きだから気持ちはわかる
けれどそれとこれとは話が別なので断ろうと思いいつものように他所行きの笑顔を浮かべる
「ご「雫」
被せるように聞こえた声に心臓が高鳴る
これには離れたところにいた友達たちもギョッとしていた
「(隠しきれなかったなぁ)」
声の方を見れば焦凍くんがいた
追求されるのが目に見えていたので今までなるべく友達の前では関わらないようにしていたんだけれど最後の最後に失敗したらしい
「焦凍くん?」
「職員室に雄英の入学式の概要が届いてるらしい、行くぞ」
当たり前のように手を繋いでずんずん進んでいく焦凍くん
突然すぎることにぽかんとしていた男の子はハッとした
「え、ちょ…」
止めようとしてくる男の子を振り返り申し訳ないという表情を浮かべた
「ごめんなさい、でもありがとう!卒業しても頑張ろうね」
そう言い切ってから前を歩く焦凍くんを見ると、いつもの表情
その表情から彼が恋愛感情を持っていないことは分かってる
けれど今はそれでいい、いつか許嫁でなくなったとしても
それまでは焦凍くんと一緒に歩めるならそれでいい
雄英の入学式まであと少し
焦凍くんと今後どうなるんだろうか
唄ちゃんに会えたらどんな話をしようか
そんなことを想像すると自然と笑顔が溢れた
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