ヒロアカaqua


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12月24日

今日の寮の共有スペースはいつにも増して華やかだ

「「「「Merry Christmas!!!」」」」

机に並んだご馳走
それを囲むようにソファーや椅子を並べパーティモード

「インターン行けってよー
雄英史上最も忙しねェ1年生だろコレ」

「2人はまたリューキュウだよね」

「そやねぇ、耳郎ちゃんは?」

「まだ考え中、舞羽と海色はギルティルージュ?」

その問いかけに唄ちゃんと顔を見合わせる
つい先ほどギルティルージュに電話をしたんだけれど返ってきたのは『インターン?無理無理、今3徹目なのよこっちは』という言葉のみ

「それがなんか忙しいみたいでさー」

「どうしようかなーって」

今回はもしいけるならエンデヴァーにお願いしたいところだけど…如何せん前回はオールマイト引退の件で大荒れだったみたいだし、最近は福岡の件もあったしで受け入れてもらえるか怪しい

焦凍くんに取り持ってもらうのもあれなので迷っていると、スマホが揺れた
LINEの画面の1番上にあるのはおそらくエンデヴァーであろうアイコン
教えた覚えがないのでおそるおそる内容を確認すれば、そこには『インターン待つ』の文字

「(え、盗聴器あったりする?)」

タイミング抜群すぎるそれに思わずスンッと真顔になった

「てゆーか、インターン以前に明日からの那歩島の方がびっくりだよ」

唄ちゃんの言う通り、明日から私たち1年A組は期間限定の郊外ヒーロー活動をしにずっとずっと南にある那歩島に行くことになっている
駐在ヒーローとして島の人々の助けになろうということらしい

去年まではなかったけれど今年から急遽採用されたそうだ

「向こう夏なんでしょ?コスチュームも夏のやつ持っていかないとだね」

「ってことは雫ちゃん水分補給しなきゃ」

「せっかく夏が終わったのに」

急な温度変化に体調崩さないといいけど…とため息をつく

「爆豪はジーニストか!?」

「あ!?…決めてねェ」

切島くんと爆豪くんのやりとりに目を向ければ、なんだか爆豪くんが考え込むような顔をしていた
ベストジーニストは今行方不明らしい、安否も不明とのこと

「でもまー、おめー指名いっぱいあったしな!体育祭で!行きてーとこ行けんだろ!」

「今更有象無象に学ぶ気ィねェわ」

そう告げた爆豪くんの背後に迫る三奈ちゃんが何とかしてサンタコスを着せようとするけれど尽く避けられている
今日は全員お揃いでサンタコスを着てるのだけど爆豪くんだけ着ていないのが気に入らないらしい

「着せんじゃねェよ!!」

「着なよー、同調圧力に屈しなよー」

クラス22名、半々で赤と緑のサンタコス
私は緑の方でキャップの先端には水のエンブレムがついている

「おおい!!!清しこの夜だぞ!いつまでも学業に現抜かしてんじゃねーーー!!!」

「斬新な視点だなオイ」

「まあまあ、峰田の言い分も一理あるぜ、ご馳走を楽しもうや!!」

「「「「料理もできるシュガーマン!!」」」」

ローストチキンを持ってきた砂糖くん
途中までは手伝ったんだけど、あとは1人で大丈夫とのことだったので任せてしまったけど流石とっても美味しそう

と、その時扉が開く

「遅くなった…もう始まってるか?」

入ってきたのは相澤先生、そしてエリちゃん

「とりっくぉあ…とりとー…?」

「違う、混ざった」

「「「「サンタのエリちゃん!!!」」」」

サンタコスのエリちゃんにインターン組が一斉に駆け寄る

「かっ!かわいいーーー!!!」

「似合ってるね!」

「おにわそとおにわうち」

「違う、それは2ヶ月後」

純真無垢なエリちゃんが可愛くてデレデレしてると、とことこ近づいてきたエリちゃんが私を見上げた

「シャボンさん、お手紙書いたの!」

「私に?」

「この前ね、ルミリオンさんとデクさんにも書いたの!」

封筒を受け取れば、そこにはいっぱい練習したんだろう一生懸命書いてくれた"シャボンさんへ"の文字が書かれてある

「わ、いいな!ファンレターだ」

唄ちゃんが字上手だねとエリちゃんに言うと彼女はとっても嬉しそうに笑った
私も屈んでエリちゃんと目線を合わせる

「ありがとう、とっても嬉しい」

「うん!」

ぱああっと顔を輝かせたエリちゃんが可愛くて微笑ましく思ってると、みんながそろそろクリスマス会を始めようと声をかけてきたので席に着く
響香ちゃんがギター生演奏をしながら歌う
それに巻き込まれた唄ちゃんもびっくりはしていたけれど一緒に楽しそうに歌っている

事前に用意していたプレゼント交換
まさか常闇くんが持ってきた大剣がエリちゃんに当たるとは思わなかったけれど本人が嬉しそうならそれでいい




楽しかった時間もあっという間に過ぎ片付け

「雫、お前も親父んとこくるんだろ?」

「え?ああ、インターンのこと?」

「ああ」

先ほどLINEが来たことは伏せて置いて頷く
すると焦凍くんがお皿を持ったまま3人に声をかけた

「緑谷、爆豪、舞羽」

幼なじみトリオが一斉にこちらを向く

「もし行く宛が無ェなら来るか?No.1…エンデヴァーのインターン」

焦凍くんが友達をエンデヴァーの元に呼ぶなんて珍しい
てゆーかそもそも受け入れてくれるんだろうか…

「(全然想像つかないや)」









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