ヒロアカaqua


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12月下旬

終業まで後少しのとある日

「「あひゃひゃひゃひゃひゃ!!!!」」

盛大な笑い声を上げる瀬呂くんと上鳴くん
その手元のスマホには先日のインタビューの映像
どうやら今ニュースで放映されているらしい

「1時間もインタビュー受けて!!!」

「爆豪丸々カット!!!!」

その通りで編集されたものを見れば焦凍くんの受け答えのみが使用されていた
爆豪くんは見切れっぱなしだ

「ある意味守ってくれたんやね」

「ありがとうテレビ局の人」

お茶子ちゃんと唄ちゃんの言う通りだ
危うく全国にとんでもないものが流れるところだった

「使えやぁあああ…!!」

ギリギリと歯を食いしばってブチ切れてる爆豪くん

「オールマイトから遠ざかってない?」

「イカレてんだ」

「聞こえてんぞクソデクと玉ァ!!」

離れたところにいる緑谷くんと峰田くんの言葉も聞き逃さない爆豪くんは地獄耳だと思う

「もう3本目の取材でしたのに…」

「仮免事件の好評価が台無し」

呆れる女子メンバー
するとみんなの手元のスマホのニュースがスタジオに切り替わる

『初々しくも頼もしい仮免ヒーローでした
彼らには一刻も早くプロとして活躍してほしいですね、泥花市の悲劇を繰り返さない為にも
事件から今日で9日、たった20人の暴動、約50分程で泥花市は壊滅に追い込まれたのです』

泥花市で起こった事件
聞くところによると被害規模は神野以上だったらしい
地方だったが故に死傷者数は抑えられたとのこと

こういうニュースを見ると神野のことをどうしても思い出してしまう

『ヒーローの失墜を狙った計画的犯行と見られていますが、街の声は』

『泥花の英雄たちを責めるのは愚かしい制度の緩和を議論していくべきです』

『泥花のヒーローも責められないよ、要請の精査をしろって?後だから言えることさ』

『ヒーローもっと頑張ってほしー!私たちもガンバルからーみたいな!?』

次々と流れる街頭インタビュー
切り替わった先はヒーロー評論家の方

『以前ですとこういったヒーローがハメられた事件に関してはヒーローへの非難一色だったわけですが
しかし、まさに今時代の節目と言いましょうか…非難が叱咤激励へと変化してきているんですよね』

それを聞いたお茶子ちゃんが親指と人差し指で半円をつくって目の前に持っていく

「見ろや君からなんか違うよね」

「エンデヴァーが頑張ったからかな!」

お茶子ちゃんに続いてそう言った三奈ちゃん
チラッと焦凍くんを見ると何とも言い難い表情をしていた

と、その時ガラッと勢いよく開いた教室の扉

「楽観しないで!!いい風向きに思えるけれど裏を返せばそこにあるのは危機に対する切迫感!
勝利を約束された者への声援は果たして勝利を願う祈りだったのでしょうか!?
ショービズ色濃くなっていたヒーローに今、真の意味が求められている!」

入ってきたのはMt.レディとミッドナイト
峰田くんが悲鳴を上げるけど、本当に職場体験で一体何があったんだろう

ひょこっと出てきた相澤先生
今日も寝袋に入っている

「特別講師として招いたんだ、おまえら露出も増えてきたしな
ミッドナイトは付き添い」

「増えてねンだよ!」

「次から頑張ろーぜ!」

まだ歯を食いしばっている爆豪くんに切島くんが声をかけた
文句があるなら少しは外面よくした方がいいと思う

「今日行うはメディア演習!現役美麗注目株がヒーローの立ち振る舞いを教授します!!」

「ギルティルージュの方が美麗なんじゃ」

「若さは正義!!!」

Mt.レディがスパァン!と峰田くんの指を弾いた
しっかりお触りしてる峰田くん、相変わらずブレないなあ

コスチュームを纏ってやってきたのは運動場
そこにはインタビューの仮設会場があった

今日はヒーローインタビューを練習するらしい

最初は焦凍くんが壇上に上がる

「凄い活躍でしたねショートさん!」

「何の話ですか?」

「なんか一仕事終えた体で!はい!!」

「はい」

始まったインタビュー
Mt.レディがリポーター役なんだろう

「ショートさんはどのようなヒーローを目指しているのでしょう!?」

「俺が来て…みんなが安心出来るような…」

「素晴らしい!あなたみたいなイケメンが助けに来てくれたら私逆に心臓バクバクよ」

それは本当にそうなので心の中で賛同する
クラスの女子も頷いていた

「心臓…悪いんですか?」

「やだなにこの子!!」

天然が炸裂している焦凍くんに頬が緩む
どうか大人になってもそのままの純粋さでいてほしい

「どのような必殺技をお持ちで?」

その問いに壇上から降りた焦凍くんは大氷結を放った

「穿天氷壁、広域制圧や足止め・足場づくり等幅広く使えます
あとはもう少し手荒な膨冷熱波という技も」

それを聞いた響香ちゃんが不思議な顔をした

「あれ?B組との対抗戦で使ってたやつは?」

「エンデヴァーの」

「赫灼熱拳!」

闇舞さんと戦闘中に感じたあの熱風のことかな?
私は見てないけれど唄ちゃん曰くあの時の焦凍くんはかなりかっこよかったらしい
私は見てないけれど!!!悔しくなんてない

「…は親父の技だ、俺はまだあいつに及ばない」

そう告げ壇上に戻っていく焦凍くんは少し変わったように見えた
ううん、きっと変わろうとしているんだろう

「パーソナルなとこまで否定しないけど…安心させたいなら笑顔をつくれると良いかもね
あなたの微笑みなんて見たら女性はイチコロよ」

「俺が笑うと死ぬ…!?」

「もういいわ!」

確かに焦凍くんの笑顔はたちが悪い
それ以上にこの天然さが勝ってるけど










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