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とうとう明日が文化祭本番
今は最終確認のための通し練習中で体育館を使用している
「ツートントン、ツートントン、パッ!
で青山中央、緑谷ハケる」
「ウィ☆」
「ラジャ!」
「緑谷!動きまたヌルいから!グッ!グッ!意識!!」
三奈ちゃんのスパルタ指導を受けているダンス舞台
正直素人以上のものに仕上がっているみんな
三奈ちゃんの教えがいいんだろう
好きだからこそ本気でやれる、響香ちゃんも三奈ちゃんもとってもキラキラ輝いている
「そんで緑谷はソデからすぐ天井行ってそんで青山をセットしてロープで吊り上げる!」
ミラーボール役が嬉しいのか青山くんは良い笑顔だ
通し練習が終わってからお茶子ちゃんがつんつんと突いてきた
「雫ちゃん、ここのフリなんやけど」
「ああ、ここはこの時に右足に重心をかけるといいかも」
「ほんとや!回りやすい!!」
嬉しそうなお茶子ちゃんに微笑む
きっと緊張してるんだろう、ちょっとだけ表情が固い
「大丈夫だよ、私も一緒だから」
「っ、うんそやね!いいものにしよう!!」
PM11:35 共同スペースには一部メンバー
「寝れねー!!!」
「静かに!寝てる人もいるから!」
はしゃぐ上鳴くんと峰田くん
私も明日が楽しみすぎて寝れないのはある
「皆盛り上がってくれるだろうか」
「そういうのはもう考えない方がいいよ、恥ずかしがったりおっかなびっくりやんのが一番よくない
舞台に上がったらもう後は楽しむ!」
「そうだね」
響香ちゃんとニッと笑い合う唄ちゃん
2人はとっても良いペアだと思う
「おまえめっちゃ照れ照れだったじゃねえか!」
「あれはまた違う話でしょ」
「えー、何それ私聞いてないなあ」
「ちょ、舞羽も悪ノリやめなって!」
照れる響香ちゃんにツンツンしている唄ちゃんに笑っていたら話を聞いていた緑谷くんがロープがほつれていることに気がついたらしい
「八百万につくってもらえば?」
「ヤオモモもう寝てるよ!」
「便利道具扱いしないの!」
何かと百ちゃんに頼りっぱなしの面々に注意する
創造だって体力を使うし、そもそも自分たちで用意できるものは用意したほうがいい
「僕明日朝イチで買ってくるよ、朝練もあるしついでに買いたいものあるし」
そう告げた緑谷くんに唄ちゃんが首を傾げる
「んん?私たち10時からだよ?店って9時からじゃない?」
「雄英から15分くらいのとこにあるホームセンター、あそこなら朝8時からやってるんだよ」
「うわ、ギリギリだ」
ちょっと心配だけど本人が大丈夫と言うなら大丈夫だろう
「そろそろガチで寝なきゃ」
そう告げた三奈ちゃんに賛同しみんな立ち上がる
「そんじゃ…また明日やると思うけど…夜更かし組!一足お先に…絶対成功させるぞ!!」
「「「「オー!!!!」」」」
翌日
AM8:45
「ダンスの衣装もバッチシー!」
「既製品に手加えただけだけど良い感じだよね」
三奈ちゃんのスカートがくしゃくしゃになってるのでそれを直しながら返事をする
黄色ベースの衣装はとっても可愛いし、男子のものも良い感じにかっこいいと思う
「海色、最後の演出チェックしようよ」
「そうだね、焦凍くんー!ちょっといい?」
青山くんと話していた焦凍くんを呼んでみんなと一緒に最終チェックを行う
AM9:25
エリちゃんと通形先輩がやってきた
相澤先生も一緒だ
「は?緑谷が?」
いまだ戻らない緑谷くんに少しもめる現場
「買い出し1つで何してんだあいつ!」
「もー!!」
「まあまあ、みんな落ち着いて」
もうそろそろ帰ってくるだろうと落ち着かせてエリちゃんの前に屈んだ
「大丈夫だよ、緑谷くんもちゃんと出るからね」
コクリと頷いた彼女はまた通形先輩の後ろに隠れてしまった
怖がらせちゃいけないので立ち上がって下がると、焦凍くんに話しかけられる
「雫」
「どうしたの?」
「文化祭誰かと回る約束してるか?」
「え?いやしてないけど」
そういえばダンスのことに夢中すぎて忘れたなと考えていると、焦凍くんが「なら一緒に行くか」と言ったのでびっくりしてしまった
嬉しいし是非そうしたいけれど、まさか彼の方からお誘いがあると思ってなかったのでフリーズしてしまう
「雫?」
「う、うん!是非!!」
食い気味に言ったことで今度は焦凍くんが驚いてたけど、すぐに口角を上げ笑ってくれた
「(嬉しいな…焦凍くんとの文化祭デートのためにも絶対成功させよう)」
その気持ちで挑んだ文化祭が幕を開けた
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