14.



扉の先には、広い広い部屋が。


その中心に、黒く染まったマキさんが立っている


「もう遅いのよ。


もう何もかも煩わしいの


だから貴方もいなくなって」


マキさんは笑いながら、斬島さんに攻撃をした


「私は悪くない」と呟きながら。



『斬島さっ…!』

「大丈夫、だ。……いい加減にしろ!!

お前は罪を犯した。罪人は処罰されなければならない

大人しくついてこい」


黒いマキさんは途端、哀しそうな表情に変わる


「イヤよイヤ…私は悪くないの、私は…


どうして分かってくれないの!」


「俺は獄卒だ。人間のお前を理解することは出来ない。

だがお前の境遇には同情しよう。追い詰められたお前を憐れもう。

それでも罪は変わらない。お前を1番理解するのはお前自身だ。分かっているんだろう?」



人間の気持ちは、私達人間じゃない者には分からない


あの時≠フ光景がまたフラッシュバックし、私は頭を横に振った


「……………


分かるわけないじゃない……私は何も悪くない…


わ、わたし、わた、わたしあ、ああああああああああああああああああ」


マキさんはまるで狂ったように、斬島さんに攻撃し始めた


「俺の言葉では届かないか…!……ん?」


その瞬間、ポケットのネックレスが輝き始めた


『斬島さん…っ、彼女にこれを!』

「…ああ、ありがとう白狐」



斬島さんがネックレスをマキさんに渡すと、マキさんは大切なことを思い出したかのように動きが止まった


「あ、ああ


ユウちゃん、ユウちゃん………」


「……お前は、本当に1人だったのか?」


「わたしの、わたしの、わたしのともだち


ああああああああああああああああああ」


と、その瞬間黒いマキさんの顔が溶けていき


顔は真っ黒に染まった


「わたしのおともだち、ユウちゃん


ごめんね、ごめんね


一人ぼっちは嫌なのにあなたを忘れていた


ほんとうはあなたの元へ行きたかった


なのに恨んで憎んで悲しくて


あなたの元へいけなくなった」



マキさんは、1人じゃなかったんだ



ぽろぽろ、と私の涙が零れる



マキさんは少しの沈黙の後、はっきりと言った


「わたし、行きます


行って罰を受けます


信じてくれたあの子を裏切った


だから罰を受けます


そうしたらわたしの心も軽くなる?」


「お前次第だろう。


それでも新しい1歩への始まりだ」


マキさんは薄く笑い、斬島さんと共に廃校を後にした




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