15.



『ぐすっ、……っ』


「いい加減泣き止めよ…あの亡者も捕まえたんだ、泣く必要ねぇだろうが」

「あの亡者が可哀想で泣いてるの?」

『っぅ、…っちがう、』


ぷるぷると首を振る


「じゃあどうして泣いてんのー、白狐ってばーねーねー」


私は途切れ途切れになりながら、周りで私を泣き止まそうと必死な獄卒さん………田噛さん、平腹さん、佐疫さん………に言った


『あの人は、……っ昔の、私に似てた


だれも、信じられ、なくて、


みんな、みんな、嫌いになって


でも、……っほんと、に、助けてくれる、友達がいて…っ


それで、それでっ…』


「もういいよ、白狐。それ以上言わなくていいから、……」


佐疫さんが私を手で包み込んで、指の先で私を優しく撫でた


と、その時


「白狐は何処だ」

『っ斬島さ、!あの人は、』

「憐れな身の上だから、恐らく来世は更にいい人生になっているだろう…とさ。


ん?白狐、泣いていたのか」


「斬島が居なくなってから泣きっぱなしだったぜ。ずっと我慢してたんじゃねえの」

「む、…そうか」

「そいや佐疫!!鳥居、鳥居出来たー!?」

「あ、そういえば出来たよ。ほら、白狐。これならどうだい?」


それは正に私が言ったサイズ、平腹さんの帽子を横にした高さぐらいの小さな鳥居だった


『わぁっ…!佐疫さん、こんな凄いの作っちゃったの…?』

「仕事が空いた時にね」笑

「っそうだ、白狐。ここに住むつもりなら肋角さんに挨拶をしに行こう」

『ろっかく…さん?』

「俺達の上司みてーな人だ。こえーから怒らせんなよ」

『う、うん。わかった』



泣きすぎて腫れぼったい目のまま、その例の肋角さんという人に挨拶をしに行った


斬島さんと一緒に。


「…初めまして、だな。こっくりさんの怪異、白狐。斬島から話は聞いている、


今回は斬島に多大な助力をしてくれたと聞いた。おかげで亡者は捕まえる事が出来た、礼を言う」


『いっ、いえ!そんな、私は大した事は……

斬島さん1人でも、きっと出来ました』


「…それで、肋角さん。獄卒達で話し合ったのですが、


白狐を誰かの部屋に住まわせたいと思っています」


『め、迷惑はかけません!ご飯も自分で摂るし、えっと、えっと……う、うるさくしません!』


赤い瞳の肋角さんは、私をしばらく見つめた後


「………中々面白いものを捕まえたな、斬島。


それに、お前にしては珍しく大分執心のようじゃないか」


口角を上げる肋角さんに、無表情のままの斬島さん。


「俺は別に構わない。白狐、俺は肋角だ。これから宜しく頼む」


『へっ………え、あ、はいっ!お願いしますっ』


満面の笑みを浮かべて、斬島さんに飛びついた


「良かったな、白狐。それで、住む部屋のことなのですが…」


斬島さんの肩に乗せてもらいながら話は真剣に聞く


「そうだな……まぁその辺は当人達で決めろ。白狐、何かわからないことがあった時は頼む」

『は、はい!』

「では、失礼します。肋角さん、有難う御座いました」

『ありがとう、ございましたっ』ペコッ







「マジでーーー!?白狐、俺の部屋来いよ!」

「俺の部屋だろ。来いよ」

『えっ、えっ?』

「白狐、好きな場所を選べ。別に誰の部屋でもいい」

『えっと…じゃあ、1番長く一緒にいた斬島さんで!』


田噛さんと平腹さんがぶーぶー文句を言うなか、斬島さんは私に微笑んだ


「これからもよろしくな、白狐」

『うんっ!!』笑




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