09.



6つ目の鏡を壊した直後、何かが壊れたような音がした


「下からか…」

『斬島さん、大丈夫?』

「心配ない。それより白狐こそ、こんなことに突き合わせてしまってすまない」

『私は大丈夫。さ、行こう』


一つ下に降りると、さっき閉じた筈の穴がまた出来ていた


「この先は……」


斬島さんは私をまたポッケに入れ、穴を潜った


中にはやはり、きりしま?さんが立っていた


さっきの笑みとは違い、今度は嫌悪の表情を浮かべている


「さあ、ここから出して貰おうか!」


斬島さんが刀を構え、きりしま?さんも刀を構える


斬島さんが斬りつけ、きりしま?さんが防ぐ


斬り合いになってる……


ぎゅっと目を閉じ、耳を塞ぐ


怖い、怖い


争いは嫌い


早く、終わって


斬島さん、無事でいて





鏡が割れる音がして、静かになった


目を開き、ポケットから外を覗いた


其処には、割れた鏡とその破片が転がっていた


「白狐、終わった。もう大丈夫だ」

『……っ斬島さ、』


零れそうになる涙を必死で抑えながら、私を肩に乗せようと近づいてくる斬島さんの指に抱きついた


『良かった、……無事で、良かった…っ』

「…白狐、大丈夫だ。落ち着け、ほら」


斬島さんは私を肩に乗せてくれた


「俺はお前を守ると言った。こんな所でお前を置いて死なない」

『…うん、うんっ…』

「心配するな、アイツはもう居ない。だから泣くな」

『…なっ、泣かないし…』


すると、私達を囲むようにさっきの火の玉が。


《ついに待ち望んだ時!!》


《我らは再び自由だ!》


《礼を言うぞ》



そう言って、火の玉たちは消えていった


『私たちも行こう。そこの鏡を潜れば戻れるよ』

「ああ、行こう」


鏡を潜ると、来る時と似ている一本道。


一本道を抜けると、辺りは一切見えない真っ暗だった


「……真っ暗だな…」

『うん…』

「落ちないように、しっかり掴まっていろ」

『分かった』


すると、何処からともなく声が聞こえてくる


おい……


聞いてんのか


そっちじゃないだろ……


どこに


「行くんだよ」ボウッ


突然目の前に田噛さんの顔が現れ、驚いて私はまた飛び退いた


でも、ちゃんと掴まってたから今度は落ちなかった。


「よお、白狐。落ちなかったのか」

『おっ、落ちないから!毎回落ちるわけじゃないから!』

「………」

「いいものやろうか、斬島。」

「ああ」


田噛さんは、斬島さんに持っていたランタンを渡した


「俺はいらないぜ。もう帰るからな

白狐も一緒に行かねぇか」

『行かないよ、私斬島さんについていく!』

「チッ、そーかよ。じゃあな」

『ばいばい!』


田噛さんは振り返ることなく、ツルハシを肩に掛けて行ってしまった


「…配置が変わっているな。所々に穴もある……」

『斬島さん、気をつけてね。落ちないで』

「ああ、大丈夫だ。白狐も落ちるなよ」

『おっ、落ちないから!』




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