其処に在るのは私の脚か
随分と遠くに行ってしまったな
追いかける気力すら残されてはいないからそのまま目蓋を閉じた

これは皮肉か終止符か
それともただの気紛れなのか
今までの歪みを
粛正する日が来たのだ


一瞬は白で
後に濁りを取り戻した
残像は記録されていなかった
確認出来たのは欠落と空白のみ
辛うじて残った意識だけではとても処理しきれなかった

朦朧とする
陽炎
混濁に埋もれ
不明瞭な言葉ばかりが口の端から漏れて出している
これが終幕だと言わんばかりに太陽は憎たらしく笑う
月光の時では直に冷たくなる
自分でもよく理解していた

だが私は術を持たない
過去の代償として差し出した物が答え
然るべき結末
それだけの事を私はしてきた
抗うつもりも無い
今更行動を起こそうとした所で結果は目に見えている


いっそ 流れに身を任せようか
今までの痛みを理解出来るなら

言ってしまえばただの我が儘
都合良く当てはめた仮初めの答だ
ひたすらに拒まれ続ける異物と同等かそれ以下の物
単なる気紛れで生まれてはならない物
外界に触れれば太陽はたちまち表情を変え侮蔑の雨と成るだろう
小さく残った空を見ながらなけなしの思考を動かした


刻限は着々と歩を進めている
体の下の水溜まりは終わりを知らない
景色は随分遠退いた
掴みかかる体力も残されてはいない

ならば最後に一つ
粛正を受け入れてみようか
暗闇に曖昧を残したままでは
きっと絶えるに絶えられぬだろう


これは単なる心変わり
気紛れが生んだ我が儘だ
笑いたいなら笑えば良い
罵りたくばそれでも良い
この温度を蔑ろにしたくなかった
ただそれだけの気紛れだ

ただそれだけの 気紛れだ



「私は愚か者だな」
淵に立ち漸く意味を理解した
あの日見た涙の意味
今なら分かるのだろうな


その時心拍数はゼロ
戦場でまた新たな花が散った





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