3秒前
左薬指、はめられた銀色の輪、大切な想いの証、真白な光に包まれて、あの日あなた涙滲んだ笑顔でわたしの薬指にはめてくれたこと、わたしもつられて泣いて笑ったこと、今でも鮮やかに覚えているの本当よ (爆発音に混ざり思い出す記憶) 潰れてしまった左手を拾い上げようとしても指先から指先から指先から指先から指先から、ぼとり、ぼとり、零れおちてゆくのでもどかしさに思わず溜め息が漏れてしまう。 「薬指、薬指は何処に行つてしまつたの?大切な大切な私の薬指は何処へ? あれだけは、あれだけは! あれだけはあれだけはあれだけはあれだけはあれだけはあれだけはあれだけはあれだけはあれだけはあれだけはあれだけはあれだけはあれだけはあれだけはあれだけはあれだけはあれだけはあれだけはあれだけはあれだけはあれだけはあれだけはあれだけはあれだけはあれだけはあれだけはあれだけはあれだけはあれだけはあれだけはあれだけはあれだけはあれだけはあれだけはあれだけはあれだけはあれだけは!!!!!!あ゛あ゛あ゛あァ゛ア゛あ゛ああ゛あ゛」 拾い上げる、繰り返し、何度も、幾度も、探しても薬指は見つからないのです。(そもそも指の形をした物など一つも残ってはしないのですが) いよいよ悲しくなつて参りました。 悲しくて悲しくて悲しくて悲しくて悲しくて悲しくて悲しくて悲しくて遂に涙が溢れ出てしまいました。 大きな黒いまなこをより一層黒く濡らして泣きました。 大きな黒まなこをしょぼしょぼにして泣きました。 声にならない声を上げて泣きました。 だけれどこのまま泣いていたって悲しいままだ。辛うじて繋がっている崩れた右手でぼろぼろ零れる大粒の涙を拭ってやろうと感覚の遠退いた腕を何とか持ち上げようとしました。激しい出血のせいかなかなか思うように動いてくれません。ぐちゃぐちゃになった体の残骸を漁っているのは見えるのに、力を入れようとしても腕は言う事を聞いてはくれません。 「そうじゃない、そうじゃないの、違うわ、そつちじゃない! 何だか自分の体じゃないみたい」 本来の目的すら忘れて没頭しました。 「だうしてうまくいかないの?、嗚呼もどかしい!!」 千切れた断片を繋ぎ合わせるように繋がるように試行錯誤試してみても全く上手くいいきません。 うまく、いか、ない、の、は???! 薬指薬指薬指を見付けねばならないのに薬指ヲヲヲヲヲヲヲヲヲヲヲ と、その時 ぐらリ 勢いで視界が転げてしまいました。 ……え??転げ、て???? 体はちゃんと座っているのになゼ回る、の??? (爆発の衝撃で彼女の頭は彼女の体から彼方先へ飛ばされてしまっていたようで、体から遠く離れてしまった頭が状況を把握するのにそう時間はかかりませんでした。飲み込めたかどうかは別として) □ □ back |