親の顔(ハンスとヴェルナー、昔) 「う……パ……」 「……!」 「パパ……ママ……」 「(うなされてるな……親の顔を覚えてるっつーのも良いんだか悪いんだか……)」 「親の夢でも見てたのか?」 「えっ……うん、そうかも」 「そっか」 「……。ねえ、ヴェルナーさんのパパとママはどんな人だったの?」 「俺の? さァな、顔も覚えちゃいねーよ」 「え――」 「大方この髪と目の色を見て捨てやがったんだ、どうせろくでもねえ奴らに違ェねえさ」 「……そんなこと……言わないで……」 「ハンス?」 「だって、ヴェルナーさんのパパとママなんだよ? 血がつながってるんだよ……? 世界に一人ずつしかいない、パパとママなのに……そんなこと……」 「……なんでお前が泣くんだよ」 「ひくっ……だって……きっと何か理由があったと思う……ひくっ……ヴェルナーさんの髪と目は、すごく綺麗だよ……?」 「はは……そうかよ。まァ、どう思い込もうが自由だよな。分かったから泣き止めよ、ハンス」 「ひくっ……うん……」 :::2015/08/02 |
色気とは隙である(水城先生と同僚、桐原先生) 「ねえ麗衣、あなたに足りないものって何だか分かる?」 「え……落ち着き? かな」 「まあ、それもそうだけど……あなたが桐原先生を落とすのに圧倒的に足りないのはね、"色気"よ」 「い、色気」 「そうよ。あなたみたいに子供っぽい女、桐原先生に相応しくないと自分でも思うでしょ?」 「た、確かに――」 ~書店にて~ 「(でも、色気なんてどうしたらいいんだろう)」 そこで、"色気のある女子になりたい!"と表紙にあるファッション誌が目につく。 「(こ、これだー!)」 「えーと、なになに……"色気イコール隙"、かあ。それなら私にもできるかも!」 ~翌日、学校にて~ 「桐原先生、おはようございます」 「おはようございます、水城先生」 「あっ、やだ、私シャツ裏返しに着てる! 着替えてきますねー!」 「……」 「水城先生、コインが落ちたようですよ」 「あっ! すみません、どうやら財布のファスナーを閉め忘れた上に、逆さまに入ってたみたいです!」 「……」 キーンコーンカーン…… 「それでは授業を――」 「ハローエブリワン、あ、ごめんなさい! 教室間違えましたー!」 「……」 「(ってちょっと待って、これ私ただの間抜けな人になってない? 桐原先生も絶対呆れてたよね?)」 「うう、やっぱり私に色気なんて無理なんだー! うわーん!」 「……(なんだかあの人、放っておけないな……)」 ある意味作戦成功? :::2015/08/02 |
寝付きが悪い(桐原先生と龍介) 「茅ヶ崎。気になったんだが、君は家でよく眠れているのかね」 「……いや、あんまり」 「やはりそうなのか。何か対策を講じたことはあるのか?」 「いや……」 「私の経験だが、寝室の環境は重要だ。カバーの色は暖色だと落ち着かないし、緑もよくないとされている。それと匂いだが、リラックスできるものの代表は(以下略)」 「 」 「眠る前にホットミルクを飲むのは、効果に個人差があるようだ。それから、好きな場所をイメージすると良いともいうな。寝る前に液晶の画面を見るのは(以下略)」 「 」 「ああ、すまん、喋りすぎてしまった」 「いえ……あの、先生も眠れなかったりするんですか」 「まあ、いや……昔の話だ」 水城「(桐原先生の昔の話……!?気になる……)」 :::2015/08/02 |
日本人は一体何と闘ってるんだ?(ヴェルナーと桐原先生) ~8月の朝、桐原家~ 「おい、どこに行くんだ?」 「どこって……仕事だが」 「は……? 8月なのに? バカンスは? 旅行は? 海に行く予定は?」 「そんなものはない(きっぱり)」 「嘘だろ……こんなクソ暑いのによく仕事なんかできるな……」 「私もそう思う(きっぱり)。じゃあ行ってくる」 「行ってらっしゃい……(なんか、厳しい戦いになるのを分かってて出かける戦士みてぇでかっこ……よくはねェな……)」 :::2015/08/01 |
片鱗を見せている(ハンスとヴェルナー、昔) 「ヴェルナーさん! ご本読んで下さい♪」 「はあ? お前もう自分で読めるだろ、なんでわざわざ俺が――」 「ヴェルナーさんに読んでもらいたいのー!」 「駄々こねんじゃねーようるせえな。分かった分かった、読みゃいいんだろ」 「ありがと!」 「で、どれを読んでほしいんだ?」 「えっと、"子供たちが屠殺ごっこをした話*"!(きらきら)」 「(うえぇ……マジかよ……こいつ残酷な話好きだよな、将来が心配……)」 *グリム童話の救いが無さすぎる話 :::2015/07/24 |
もし水城先生とシャーロットが出会ったら(水城先生とシャーロット) 「(すごい綺麗な金髪と青い目……! モデルさんか女優さんみたい! 美人ー!)」きらきら 「(ちっちゃい……可愛い……撫でたい……)」うずうず 「ところで、あなたとミスター桐原はご夫婦なの?」 「ご、ごふっ……!?(ごふごふっ)」 「違ったかしら? とても仲睦まじい様子だったから……」 「え、ええと、同僚です……。私の方は、その、好きなんですけど……」 「まあ……お二人の関係が進展することを祈っているわ。初対面の私が言うのもなんだけど、とてもお似合いだもの。きっとうまくいくわよ」 「そ、そうでしょうか」 「ええ。少し年が離れてる気がするけど」 「えっ……3才差ですけど、離れてますかね?」 「?……あの、失礼だけど……あなたはおいくつ……?」 「27です」 「(とっ……年上……!? 20そこそこに見えたのに……!)」 「?」 :::2015/07/23 |
ヴェルナーの悩みの種(ヴェルナーとハンス) 2年前(ヴェルナー26歳、ハンス19歳) ※ちょっと下品 「……なあハンス。お前も成人して1年以上経ったわけだが……ちょっと聞いていいか?」 「何ですか?」 「あのな……お前、女の子と付き合ったことあるか?」 「無いですよ」 「じゃあ、経験はあるか?」 「ありませんけど」 「……。ハンス、俺は心配なんだよ。お前がいつまでも童貞なんじゃないかってさ……」 「別にいいじゃないですか。なんでヴェルナーさんが心配するんです? 女性と交際するなんて面倒なだけですよ。性欲処理なら自分でできますし」 「お前……本気で言ってんのか? 男に生まれたからにはよォ、女の子を喜ばせなきゃ意味ないだろうが」 「あなたの価値観を僕に押し付けないで下さい、僕そういうの一番嫌いなんですよ。僕は今、この子がいるだけで十分なんですって」 「にゃーあ(ごろごろ)」 「いやお前……えっ……せめて相手は人間にしない? もうこの際男でもいいからさ……種が違うとか、壁がありすぎて応援できねーよ……」 「何意味不明なこと口走ってるんです? 頭にウジ虫でも湧きましたか?」 「……」 「そういえば10年くらい前、ヴェルナーさんが夜な夜な違う女性をうちに連れ込んでたことがあったじゃないですか。僕あれけっこうトラウマになってるんですよねー」 「えっ……そうなの? ごめん……」 「ごめんで済んだら影は要らないんですよ」 「……」 :::2015/07/23 |