(高専時代の可憐さんと夏油さんのお話。最後に七海さんちらり。)
(ほぼ会話のコメディ。)









同い年だけどしっかりしていて、馬鹿なこともするけれどいつも私たちを引っ張っていってくれてたのはあなただったとわたしはおもうの、
すぐるくん






1.2年合同の授業。人数が少ないからそんなことはよくあることで。今日は近接戦の練習で、ペアをシャッフルしながらの組手や受け身の練習だ。1年は男子2人、2年は男子2人と女子2人。とりあえず、1年男子と2年女子が組むことになった。




「あーー!灰原!硝子サボりに行っちゃったから、後で私とやろ!」
「ありがとうございますっ!!!」
「いいですよ。先に灰原とやっても。」
「低血圧か、ななみん。」「いえ、そういうわけでは。」
「さぁ、私を倒してみるがいい!!」
「可憐、七海はかなり近接戦強いんだから油断するとすぐ負けちゃうよ。」
「よそ見してんな!傑!」



とにかくこの合同授業。いつもうるさい。とにかくうるさい。2年生の悪ノリがすごい。可憐は夏油の予告通り油断したところを思い切り七海は投げれられてしまった。






「よし!!!つぎ!ななみんと灰原!」
受け身をうまく取り地面に寝転びながら元気に指示する可憐に灰原だけは元気に返事をして、七海と組み合う。一方、2年の2人は実力こそ五条の方が上だろうが、夏油の冷静な分析力と五条慣れのおかげが勝負は拮抗している。なんなら、五条の方が夏油にいなされている感じで夏油がやや優勢かもしれない。






----------



「お疲れ様、可憐」
「あっ!ありがとう!」

五条に1年2人が相手になるという謎の練習が始まったところで、グラウンドのベンチに腰掛ける可憐に夏油はポカリスウェットを渡す。





「あんなにガチでやらなくたっていいのに。可憐の術式はサポート力高いんだから、硝子みたいに近接はやらなくたって。」
「まー、そうなんだけどさ。身体動かすのは好きだし、私学長のぬいぐるみたちと戦ってきてるし?」
「ぬいぐるみって言わないの」
「割と嫌いじゃないの、近接戦。それに、祓えるなら最後まで自分で祓いたいじゃん。まぁ、私の術式じゃ最後は結局殴る蹴るになっちゃうだろうけど」


ポカリを飲みながら話す可憐には少し息は上がっているものの、やはりタフなようでそこまでの疲労は見えなかった。





「傑こそ、近接戦そんなにじゃない?」
「僕は駄目だよ。術者を叩きにこられるパターンばっかりになるだろうからね。」
「えー、でもあんなに強い呪霊出されたら傑にはなかなか近づけないよ」
「でもセオリーってものだろ。術者叩きに行くのはさ。」

まぁ確かに、と可憐は納得すると隣に座る夏油の横顔をふと眺める。




「なんだい?」
「最近調子良さそうでよかった、先週あたりまでなんかしんどそうだったから」


先週というと、五条と一緒に任務に出ることが多く夏油は多くの呪霊を身体に取り込んでいた。決して美味しいとは言えない、むしろ食べたいとは思わないそれを飲み込まなくてはいけないのだから、心なし体調が悪そうに彼女の目には映ったのだろう。




「よく気がつくね、」
「でしょ?これぞ女子力!」
「それは言わない方がいいんじゃないかな」
「.....おしかったね」




柄は良さそうに見えないがとても優しい夏油の笑顔が可憐は大好きで、心地よさを覚える。






「ね、傑。」「んー?」
「普段はなんかピリピリしたりもあるけどさ、それはもう仕方ないことじゃんね。ここにいる以上は、」「ん、そうだね」
「だからたまには、こーいうのいいよね。すごく楽しい。」

可憐はグラウンドを指さす。その先には五条に投げられまくっている七海と灰原の姿。ケラケラと笑う五条を諦めたように睨む七海と、次こそは!と意気込む灰原があまりに対象的で、夏油まで笑ってしまう。





「よし、悟を倒しに行こうか」
「それはいい考え!!」

二人もまたグラウンドへと駆け降りた。





---------





「そーいえば、建人は近接戦強かったよね」
「術式的にも必須ですからね。」

「冷静に、硝子がサボってばっかりだから私男の中でばっかやることになるから、そこそこ、強いはずなのにビリになりがちなのって、今思うと納得いかないわ」

「可憐はとても強かったと思いますよ、ちょっと気が散りがちなだけで。」
「それ結構だめなやつじゃん」

「まぁ、確かに。」
「くっそー、そんなふうに思われていたのか。」
「でもほら、化け物みたいな人たちばっかりでしたから仕方ありませんよ。」
「それはフォローなの?」
「ええ、一応。」











あんな感じでフランクにラフになんでも聞いていたら違ったのかな。遠慮なんてするほどの仲じゃないなんてわかっていたはずなのに。でももう全て思い出の中のはなし。
すぐるくん






fin



prev | next

TOP


- ナノ -