ナルトの成長(後編)


=木ノ葉の里 ナルトの部屋=

ナルトはベッドに寝転がって、イタチに言われたことを思い出していた。

***

一週間前サスケが大蛇丸を殺したという知らせが木ノ葉の里に舞い込んだ。ナルトはサスケが戻ってくるかもと期待したが、サスケはイタチへの復讐に向かったという。
サスケを連れ戻したいナルトは班を編成し、サスケの標的であるうちはイタチを追った。

そこでイタチとナルトは二人きりなった。
イタチはナルトに幾つか質問をした。

『何故そこまで弟に拘る?』

『サスケを連れ戻せなかったらどうする?』

終いには、

『もしサスケが木ノ葉の里を襲ってきたらどうする?』

と聞いてきた。サスケが木ノ葉を襲うはずがない。
だがイタチはサスケと木ノ葉を天秤にかけられるか問うてきた。

『木ノ葉は守る!そんでもってサスケも殺さず止める!』

ナルトの解答にイタチは絵空事だと言って去って行った。

そしてイタチとサスケの戦いは始まってしまい、イタチは死んだ。
黒い炎が燃える戦いの跡地に、ナルト達がついた時にはもう誰もいなかった。
ナルトはうちはの家紋の刻まれた岩を殴り、悔しさで歯を軋ませた。


***


サスケに追いつけない。あと少し、いつも届かない。
ナルトは枕に顔を埋めて、目を閉じた。



「お前今どうしてんだけ……サスケ」

「無事だよな?」



次の日の朝、窓をたたかれる音でナルトは目を覚ました。カカシが招集しにきたのだった。

「五代目がお呼びだ。すぐに準備しろ……」


そうして着替えて、火影執務室に向かう途中、建屋の屋上に座っていたガマオヤビンとガマ吉を見つけた。
何でいるのか聞いてもはぐらかされて、不思議に思いながら綱手に会いに行く。



=火影執務室=

火影執務室にも蛙がいて、ヨボヨボのじじい蛙の他三匹がいた。それに綱手、シズネ、サクラにサイ。

「何?」
「この子が自来也ちゃんの弟子か?」
「はい。これがうずまきナルト……その話の"予言の子"でしょう」

師匠のことをちゃん付けで呼ぶ蛙にナルトはじじい蛙が何だと噛み付く。
ナルトがじじい蛙と呼んだ方は、妙木山の二大仙人の一人、フカサクというらしい。
自来也に仙術を教えた師なのだそうだ。

「んで、そのジジイ仙人が俺に何の用だってばよ?」

「どこから話せばいいかのう。とりあえず言っておくが……自来也ちゃんが戦死した」


「は?」




=木ノ葉の里 公園=

大好きだった師匠が死んだ。

暁のリーダー、ペインに一人で戦いを挑んだそうだ。

真夜中の公園で、ナルトはたった一人泣いていた。
そこにやってきたのはアカデミー時代の担任うみのイルカだった。


「自来也様のことは聞いたよ」
「俺のことずっと見てて欲しかった……俺が火影になるとこ見ててもらいたかったのに……エロ仙人にはカッコ悪いところばっかしか見せられなくて……俺ってば」
「自来也様はいつもお前のこと褒めてたよ。お前が自分の意志を継ぐ存在だと信じてた。いずれ立派な火影になると信じて疑わなかった」

「自来也様はお前をずっと見ているさ……今だってどこからかな」

「あの人はお前が落ち込んでいるところを見ても褒めてはくれないぞ。だから……今まで通り、褒めてもらえるようなお前でいればいい」

「いつまでも落ち込んでるな!お前はあの伝説の三忍、自来也様が認めた優秀な弟子なんだから」


「ありがと、イルカ先生……」





=妙木山=

自来也の遺言を読み解いたナルトは、仙術の修行のためフカサクとともに妙木山に来ていた。

自身の精神エネルギーと身体エネルギー、それに外からの自然エネルギーを加えたチャクラが仙術チャクラになる。

ナルトの第一関門は、自然エネルギーを取り込めるようになること。
そこで妙木山の油を使い、動かずに自然と一体になる修行を行った。

自然エネルギーを取り込むコツが分かったところで、ナルトはフサカクに語る。

「俺、この力知ってるってばよ」
「何?」
「サキが裏チャクラって言ってるやつ。あれに似てる」
「ああ、自来也ちゃんも言っておった。そのサキという子のチャクラは自然エネルギーと同じだと。だがワシらが自然から集めて変換するものと異なり、彼女のチャクラは内から湧いて出ていると」
「ん?でも自然エネルギーって空気とか自然に存在するんだろ?」
「ああ。そこが不思議なのじゃ。まあ分からぬこと考えても仕方あるまい」
「そうだな!今度サキに会ったら確認してみるってばよ!修行再開だ!」

 


=木ノ葉の里 外周=

その頃、木ノ葉の里の周囲にペインが現れた。
目的は九尾と十尾の"心臓"の回収。

「陽動と探索の二手に分かれる」

「陽動は修羅道、畜生道、餓鬼道。探索は天道、人間道、地獄道で行う。小南、お前は探索側だ」


「ここより世界に痛みを…………」




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