ナルトの成長(前編)
=木ノ葉の里 第3演習場=
新しい第七班での任務を終えて一週間経った頃。
大蛇丸の部下と接触するために天地橋に向かったナルト達は、そこで大蛇丸、薬師カブトと遭遇し、そして成り行きで彼らのアジトに向かい、うちはサスケと三年ぶりの再会を果たした。
三年間の修行の旅で強くなったナルトを軽々とあしらう程に、サスケは強くなっていた。
そのことを踏まえて、ナルトは写輪眼バテから復帰したカカシともに演習場にやってきたのだった。
「今回の修行の目的は、お前だけの最強忍術を作ることにある。螺旋丸を越える術だ」
それにはチャクラの"形態変化"と"性質変化"の二つのテクニックが必要で、既に螺旋眼を使えるナルトの最初の課題は"性質変化"をマスターすること。
その修行時間短縮のために、カカシはナルトに多重影分身を用いることを提案した。
そしてこの修行法にはもう一人重要な助っ人が必要だ。多重影分身での修行は、ナルトのチャクラを膨大に使うため、九尾チャクラをコントロールが必要不可欠。そのため木遁で九尾チャクラを抑え込めるヤマトが呼ばれた。
「まずはお前のチャクラ性質を調べる」
「どうやって?」
「これだ」
カカシはナルトにチャクラ性質を調べるための感応紙を渡した。ナルトがチャクラを送ると紙は真っ二つに裂かれた。
「さて、始めるか。"風"の性質変化の修行だ」
***
ナルトは第一課題の木の葉裂き、第二課題の滝割りと着々とクリアしていった。
ナルトの心にはサスケに追いつきたいという目標があった。だからこそ多少の無茶でもへっちゃらであった。
第三課題は螺旋丸の究極の形態変化に、風の性質変化を加えて術を完成させること。
これは螺旋丸を考案した四代目火影でも到達なし得なかった領域、そもそも不可能な術なのかもしれない、とカカシは話す。
「これから先は教わるんじゃなく、お前が見つけるしかないんだ」
「何故こんな事をお前に話すか分かるか?ナルト」
「四代目火影を超える忍はお前しかいないと……俺はそう信じているからだ」
ナルトは頷いた。そしてやる気がみなぎる。
必ず術を完成させるのだと強く決心した。
***
ナルトの修行は数日続き、未だ進展なしだった。
「ナルト!少し休憩だ!」
「でも俺ってばもう少し出来るってばよ!」
「ナルトじゃなくて、ヤマトに休憩が必要なんだよ」
カカシはヤマトを指差した。
ヤマトはナルトの修行中、いつでも木遁封印できるように気を張っており、九尾チャクラが漏れ出ればすぐに抑え込んだ。
ヤマトのチャクラはナルトほど多くない。だから九尾チャクラが出る回数が多い日なんかは、先にヤマトがダウンする。
「ヤマト隊長、もうちょっと気張ってくれってばよ」
「お前の体力と一緒にしないでくれよ。もう」
「ちえ……そういえばサキってまだ帰ってきてないのかな?」
「ああ……暗部の任務に行ってるんだよね」
「サキがいたらヤマト隊長と交代で九尾チャクラを抑え込んでくれると思ったんだけどな……」
「ああ、彼女は尾獣チャクラを抑え込む術を持っているんだったね」
サキが表舞台から去った後、近しい忍には綱手から連絡が入った。
『サキは尾獣チャクラを制御することができる。そのため暁に狙われた。過去二回の誘拐を踏まえて、彼女は暗部での任務に移行してもらう』
ナルトとヤマトは表向きの事情を、カカシはサキから本当の事情を聞かされていた。
"根"の監視下にあることをナルトに話せば、こんなに穏やかに修行はできていなかっただろう。
ナルトは誇らしげに笑った。
「サキってば昔からすっげー奴なんだってばよ!サキが暗部で頑張ってんだ、俺だって」
カカシはあれからずっとサキのことを忘れた日はなかった。
根に潜ってから一ヶ月以上。やはり全く音沙汰なし。
とはいえ手は出せない状態だった。
サキが別れ際に言った一言。
『ナルトのことよろしくお願いします』
カカシは今ナルトを強くするしかない。
休憩を終えて、ナルトは修行を再開した。
***
修行中、一つの訃報が三人の元に届いた。
火の国に潜入してきた暁の飛段と角都、その討伐部隊にいた猿飛アスマが戦死した。
シカマル、イノ、チョウジはアスマを殺した暁に復讐を企てる。カカシはアスマの代わりに隊長に立候補し、そして一小隊が暁の元へ向かった。
そして増援に向かうのはナルト達第七班。
ナルトの新術"風遁・螺旋手裏剣"で角都を、シカマルの練りに練った戦術で飛弾を打ち破った。
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