帰還


=砂隠れの里 正門=

木ノ葉の面々は砂隠れの里に滞在することなく、里に戻ることを伝えた。
テマリを始め、今回の騒動で恩の出来た砂側はゆっくりしていけばいいのにと言うが、サクラが戦ったサソリから大蛇丸の情報を得たこともあり先を急ぐことになった。

「しかしサキは目を覚ましていないが本当に大丈夫か?」
「問題ないってばよ。俺がちゃーんと背負っていくから」

ナルトはグッと親指を立ててみせた。
三年ぶりのおんぶだった。十二歳の頃はお互い背格好が同じで不安定だったが、今はナルトも育っており木ノ葉の里までの距離も問題なさそうだった。

「そういえばサキってどうして暁に狙われたの?」

道中、テンテンがリーに質問した。それに答えられないリーはネジへ聞き、ネジも詳しい事情は知らないため、第七班に答えを求めた。
サクラは首を振り、ナルトは後ろにいるカカシに目線を送った。

「ちょっと事情があって今は言えなんだ。ごめんね、テンテン。綱手様、それからサキの許可を取ってからだね。恐らく今回の騒動でもう秘匿は出来ないから、いずれ皆に知れ渡ると思う」
「……そんな大きな事情があるなんて」
「サキさんは只者ではないという事ですね」
「ま、そうね」

カカシはナルトに笑顔を送った。大丈夫だと。
サキの秘密に関わる部分の話題はナルトにとってむず痒くて、咄嗟に話題を変えた。

「そういえばさサキって髪色変わったよな」
「え?いつも通りじゃない?」
「昔より若干銀色っぽくなったっていうか」
「ンー、言われてみれば若干明るくなった気もするけど」
「誘拐される前から砂隠れの里で任務してたから、髪が日焼けしちゃったんじゃないの?」
「髪が日焼け!?髪も日焼けするんですか?テンテン」
「そうよ。ってそんなに大声出す程大事じゃないからね!?」

ワイワイとはしゃぐ部下達を動けないカカシとそれを支えるガイが少し後ろから眺める。確かに光の加減では明るく見えるなとカカシはナルトの言った通りに思う。

ザッ、ザッ、、ザッ

「先生たちおそーい」
「いやーすまないね。ガイくん。新しい写輪眼を使うとどうも体が動かなくてね」
「早くーーー」

次第に開いていく部下たちとの距離にとうとうガイの熱血魂が爆発し、カカシを荷物ごと背負った。

「こうなったら速いぞっ!!」

(なんか、キモいってばよ)
(おっさん同士のおんぶか……思ったよりキツイな)
(うわあ、うざ……)
(……)
(そうか!修行ですね!!)

ガイとカカシが風の如く抜かしていくと、残された若者たちはリー以外ドン引きをしていた。




=木ノ葉の里 中央病院=

木ノ葉に着いてから半日、点滴を打ち終えサキはようはく目を覚ました。

じっとしていると、守鶴が暁に奪われたこと、知らない間に尾獣たちが奪われ、人柱力が命を落としていく現状に焦りが止まらなかった。
かといって何もできる事はない虚しさだけが募る。

寝ている間にイノ、シカマル、チョウジが来たらしく、りんごが三つと簡単なメモがカゴに入っていた。
恐らくシカマルがナースセンターから持ってきた紙皿と果物ナイフが添えられて。

サキは気分転換にそれらを持って病室を抜け出した。
廊下を歩いていると"はたけカカシ"のネームプレートを見つけてそこへ入室する。

「あれ、サキ。起きたんだね」
「何だか落ち着かなくて。カカシさんにお話相手になってもらおうかなと思って遊びにきたんですよ。十班のみんながりんご持ってきてくれてて、一緒に食べませんか」
「あー、アスマも持ってきてくれてたな。そこにあるから、サキ食べていいよ」

指さされた棚を見ると、サキが持っているのと同じ量のリンゴが棚上に置かれていた。

「ええ、一人でそんなに食べれませんよ」
「俺今は固形物食べれないんだ」
「ああ、だから金おろしも一緒にあるんですね。すり下ろせば食べれます?」
「うん。でも手間じゃない?」
「このくらいなんて事ないですよ。いつも助けてもらってる恩に比べたら」
「里の仲間なんだから、助けるのは当たり前だよ。そこに恩なんて感じなくていい。そうだろう?」
「……そうでしたね」

サキはリンゴを剥きながら、カカシが読んでいる"イチャイチャタクティクス"という本に目を止めた。

「その本面白いですか?いつも読んでますよね」
「ああ、面白いよ。これは最近出た新作。サキも読む?」
「R18って書いてあるんですけど。普通にセクハラです」
「あ、サキってまだ十六歳か」
「そうですよ。まだ子供です」
「大人っぽいからさ。ナルトやサクラと比べると」
「ナルト逞しくなってたと思ったけど。あ、サクラは大人っぽくなってた気がする。色っぽくなった」
「そうね。サクラは中忍の中で最近人気みたいだよ」
「へえ。サクラモテモテなんだ。今度会ったら言ってみようかな。ちなみにカカシさんって昔はモテました?」
「昔どころか今もモテモテよ」

サキはカカシの顔をまじまじと見つめた。
確かに顔は整っていそうだけど、問題がある。

「顔半分見えないのに?」
「見えないミステリアスなところがかっこいいんじゃないの?」
「え、モテるためにやってたんですか?マスク」
「違うよー、顔を見せないようにしてんの。暗部の仮面みたいなもんだよ」
「ふーん、マスクの下見せてくださいよ」
「ダメ」
「えー、まだ秘密なんですか」
「見たいって言われると隠したくなるものなの」
「あ、でもりんご擦り終わりました」
「ええ、この話のタイミングで」
「ささ、召し上がれ」

カカシは不敵な笑みを浮かべるサキを見ながら、なんとか話題を変えてやろうとする。

「……そういえば今額当てもしてない状況なのに、普通に俺の顔見れるようになったんだね」
「あ、確かに。あれから三年以上も経ってるんですから当たり前と言えば当たり前ですかね」
「写輪眼が平気になったのか、俺が平気になったのかどっちなの?」
「カカシさんの方ですよ。今は信用してますから。はい、リンゴ」
「……う、そんなに凝視しなくても」
「出っ歯でもたらこ唇でも笑いませんから」


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