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13.

「いいかしら、坊や」

アルテミスの手の平の上に光が現れる。

その光の粒は集まり、二つの生き物を形作った。一つは人間。もう一つはドラゴン。彼女の手の平の少し上の空間で光の小さなドラゴンは羽ばたき、人間も本物のように歩いている。

「代替わりした王も含めれば、歴代の始祖はそれなりにいるわ。みな聖獣を愛し、人を愛した。博愛という意味じゃなくて、恋愛という意味で人間を愛そうとした王も多い」

光のドラゴンが人間に近付く。

人間も嬉しそうに彼の首に腕を回したり、じゃれついたりしていた。ただの光の粒なのに、それを見ていると胸が苦しくなる。

「でも、聖獣と人間の恋は誰一人として実らせることができなかった。…誰もね」

「どうして?」

「寿命の差よ。人間は短命だもの」

光の人間が年老いていく。元気にじゃれついていたのが徐々に動きが緩慢になり、腰が曲がり、ついには皺だらけで杖をついた。

そして、最後には光の粒が霧散した。

散っていく光をドラゴンが追いかけ、集めようとする。だが、死んだ人を取り戻すことなど不可能で、光の粒は完全に消え去ってしまって、小さなドラゴンだけが取り残された。

「優しい王ほど人間と距離を保とうとする。心から愛したことがあるならなおさらね」

もし、あの人間がカイスティンだとして。

過去、二人が実際に愛し合ったとして。

今、彼が愛しているのは私だとして。

私が身代わりなんかじゃないとして。

彼が契約を拒絶することで距離を保ち、だが、私に他の聖獣と契約してほしくないことに理由を見付けるとしたら。少し強引だが、

「彼は、私が死ぬ日が怖い?」

この答えに辿り着くのだ。

「その答えが一番妥当だわ」

「私は怖くないんだがなぁ…」

「勝手に残していく人間に、残される聖獣の気持ちが分かる日なんて永遠に来ないのよ」

「…なら、どうすればいい?」

「それは諦めるとか、別れるとかじゃなくて、愛し合うという前提で言ってるの?」

「勿論だ」

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孤独が怖い、と君が怯えるのなら、
私は君と最期まで寄り添うと誓おう。