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11.

豊かなブロンドの髪。だが、その色は雷の黄金色よりもずっと柔らかくて優しいかった。

瞳は女性にしては切れ長で、形のいい薄い唇から漏れる声も低めだ。しなやかな手足には程よく筋肉がついていて、指は女性特有の長く繊細なものだったが、剣だこが付いていた。

銀色の鎧。背中には弓矢があり、腰には剣。

彼女、アルテミスは長い足を持て余すように歩き、同時に振動に鎧が鳴るのが聞こえた。

女性としての美貌と戦士としての勇ましさを併せ持つ始祖。光の女王、アルテミス。

彼女はベッドに腰かけた私の目の前まで歩いてくると、にっこりと妖艶に口角を吊り上げた。真っ赤な唇が愉快げに弧を描く。

「それにしても、坊や、そんな乱れた服装で私を呼ぶなんて随分と積極的に誘うのね?」

「っ、」

慌てて服を整えれば、アルテミスはまた笑う。ひどく楽しそうな表情にからかわれたのだと知った。それでもきちんと服を整えた。

「なんで召喚に応じたんだい?」

「あら、呼んでおいてそれはないわよ」

「…私は君と契約するつもりではなくて、召喚して悪いけど、出てくるとも思わなくて…」

「奇遇ね、私も契約するつもりはないのよ?」

目が丸まっていく自覚がある。

呼んでおいて契約拒否というのは私の方が悪いのだが、契約をするつもりがないのなら、彼女は何を思って現れたのだろうか。

「私は苦情を言いに来たの」

ドン、と彼女はベッドの足を蹴った。

その力は到底女性とは思えなくて、ベッドが震える。それは座っている私にまで伝わってきた。彼女は私を見下ろし至極迷惑そうな、だが、愉快そうな色が若干滲む表情を浮かべた。

「あなた達の痴話喧嘩に聖獣達を巻き込むのはやめてちょうだい。迷惑しているわ」

「痴話喧嘩!?」

「えぇ。気付いてないの?あなたの全身にドラゴンの魔力が絡み付いていて、マーキングみたい。そんな状態で召喚を繰り返して、雷の王の獲物相手に聖獣達が応えると思うかしら?」

「そんなわけはない。私達は契約を切った」

「契約を破棄したとしてもあなたにご執心ってことよ。本気で分かっていないの?」

はぁ…、と彼女が溜め息をついた。

「契約を切ったのに契約主にはマーキング。契約をするつもりがないのに召喚。…あなた達には呆れてものも言えなくなるわ」

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孤独が怖い、と君が怯えるのなら、
私は君と最期まで寄り添うと誓おう。