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4.


「で、俺をどこに連れていく気だ?」

一通り笑ってから落ち着いた。

デートしてやるから高いものを食わせろ、とか本当にそう思っているわけじゃない。

ただ、清宮のイメージでは食事は必ず高級レストランで、連れていってくれるなら綺麗な夜景が見えるフレンチレストランとかだと勝手に思っていた。実際、普段はそうなんだろう。

だからこそ、この男が安い弁当で妥協してまで俺を連れていきたい場所が知りたかった。

なのに、

「秘密。ついてからのお楽しみ」

と、意地悪く笑って言いやがった。

「高いレストランとか、どうせお前だって食い慣れてんだろ?マナーは疲れるし、退屈だ。…それより俺は二人っきりになりてぇんだよ」

「その場所って?」

「だからまだ教えてやんねぇよ」

清宮の声色はとても楽しそうだ。

確かに俺も高級レストランは好きじゃない。ホストとしても情報屋としても頻繁に行くが、マナーには気を回さなくてはいけないし、純粋に食事を楽しめる人と行くわけじゃないから折角の美味しい料理も味気がないように思える。

清宮もそうなんだろう。嫌と言うほど高級料理を食べさせられて、むしろたまにはコンビニ弁当が食べたいのかもしれない。

とにかく、クラブで接客する時のスーツを着た彼より、余程生き生きしているように見えた。

とても綺麗に見えて、そして、

(…悔しい)

そこでハッとした。

(…なんで悔しいんだよ)

少し考えて分かった。

確かにクラブで清宮の相手をする俺は少しそっけなかったのかもしれない。それでも、頑張っていた俺よりも安いコンビニ弁当で生き生きした表情を見せる清宮が気に入らなかったんだ。

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騙し合うこのゲームは、
本気で惚れた方が負けなのだ。