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10.


一つ目の交差点。

相手に動きはない。

二つ目の交差点。

信号に引っかかってしまったが、バイクなのに車を抜いて上がってくる気配もない。

『振りきったら次の交差点も青ですので、右折してください。その次は左折です』

「分かった」

二つ目の交差点の信号が変わり、順調に三つ目の交差点も越える。やはり動きはなかった。

(まだだ…)

半分ほど走って、次の信号が見えてきたところでスピードを上げる。尋斗も同時に加速したようだ。それでも制限速度はちゃっかり守っている。安全第一だ。だが、先程まではやたら遅く走っていたから速いように感じるだろう。

他に車がなかったことが幸いした。じゃないと思いっきりクラクションを鳴らされていただろう。

青信号が黄色に変わる。

その瞬間に俺と尋斗が駆け抜ける。

だが、バイクは間に合わなかったようだ。信号はすぐに赤に変わってしまい、バックミラーを確認すれば、背後は別の方向に車が行き交っており俺達に続いてくるバイクはなかった。

『やったァー!』

はしゃぐ尋斗の声を聞きながら、蓮の指示に従う。右折してから左折すれば、信号にも引っかからずに別の道路に出た。

「…やっぱりこのまま発信機をつけて目的地まで誘導しようか」

『え、なんで?せっかく振りきれったのにィ?』

「回り込みや挟み撃ちを警戒しただけだ。相手は二人。離してしまえば害はないだろう。それに、俺は清宮がいるかどうか知りたいから尾行を諦められては困るんだ」

『それもそうだね。いいよォ』

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騙し合うこのゲームは、
本気で惚れた方が負けなのだ。