8.
『コウさん、ヒロ、尾行はまだいますか?』
『バックミラーには映ってないけど、位置的に見えないだけでいるんだろうねェ』
「俺からも見えない。蓮、衛星を使えるか?」
『少々お待ちください』
少しして蓮の声がした。
『コウさん、バイクは約30m後ろに二人だけなので、その二人だと思われます。あと…』
「どうした?」
言葉が一瞬途切れた。それは任務中は特に素早く情報を伝える蓮が戸惑っている証拠だった。
『今衛星の他にも発信機でお二人を追いかけているのですが、…発信機が三つ確認できるんです。車の方に二つあります』
「なんだと!?」
俺達は車とバイクに一つずつ付けた。
それが三つになっているということは、
(あいつらにもう一つ発信機を付けられた)
いつ?誰に!?
あの車は初めてクラブに乗ってきたもので、俺達以外はあの車を使うとは知らなかったはずだ。
「尋斗が着替えた時につけられか?あの時には車に誰もいなかったから…」
『いえ、俺がずっとカメラで確認していましたが、誰も車には近付いてきませんでした』
「なら、いつ…。とりあえず、一度発信機を確認する。奴ら二人を振りきるぞ、蓮」
「はい。分かってます」
だが、焦る必要はない。こうならないように気を付けていたつもりだったが、別に困るほどではないし、対処法だって考えてある。要は、振りきってしまえばいいんだ。
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騙し合うこのゲームは、
本気で惚れた方が負けなのだ。