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「#エロ」のBL小説を読む
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6.


「蓮、監視カメラで榊に注意してろ」

『了解です』

十五分かけてショッピングセンターについた。

このショッピングセンターは俺達にとって都合がいい。一つ、夜遅くまで人が多い。二つ、一階の端にあるトイレには外に通じる窓がある。三つ、駐輪場は駐車する場所と角度と柱によって、他者から見えない死角が存在する。

条件は充分だ。

「尋斗、着いた」

『俺も着替え終わったよォ』

適当にバイクをとめ、ヘルメットを脱ぐ。

ショッピングセンターの裏に周り、開け放たれた窓からトイレに入った。もちろん、尋斗はこの窓が見える場所に駐車していない。そんなことをしたら尾行している奴に見られる。

トン、と軽く着地して頭を上げれば、ヤクザ仕様のスーツに着替え終えた尋斗がいた。

「はい、着替え」

「ありがと」

「大胆!えっち!誘ってるゥ?」

「黙れ、誰がお前なんか誘うか」

尋斗が差し出すアタッシュケースを受け取る。

この黒のアタッシュケースはデザインこそ拳銃の入っているものと同じだが、実は最初から車の中に用意された別のアタッシュケースで、中身は尋斗のスーツと俺の着替えだ。

着ていた服を脱ぎ、先程尋斗が着ていたのと同じ店で買った黒のシャツとデニムに着替える。尋斗の髪色と髪型に似たウィッグをかぶり、マスクで顔を隠す。元の服を畳んで入れて、ケースを閉じた。

もちろん、この服は尋斗が着ていたものじゃない。同じ店で買った同じ物であるだけで、あいつが脱いだ服を着る趣味はない。靴は俺がクラブを出た時から尋斗と同じものを履いており、尋斗は車に戻ってから変える予定だ。

(…これだから腐れ縁は、)

ペアセットなんて気持ち悪い。

因みに、尋斗も同じ感想で、別のペアセットを勝手に蓮にプレゼントしていたが、蓮によるとうざくてまだ着ていないらしい。

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騙し合うこのゲームは、
本気で惚れた方が負けなのだ。