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「#エロ」のBL小説を読む
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5.


部屋の仕掛けを確認して、窓から飛び出す。

この部屋には仕掛けがある。設定した時間になればスプーンのようなものを落とす仕掛けだ。音楽が大きい場所や床が厚い場所なら聞こえないが、店の中で一つだけ響く場所がある。

スタッフの休憩部屋だ。今から一時間後、休憩部屋の真上でスプーンが落ちる。その時間帯は休憩時間じゃないから、誰もいない。それより前に榊に休憩部屋の掃除を任せる。

上にいる、と思い込ませるのだ。

22時8分。仕掛けが動くのは、

(23時8分だ)

ということは、

(22時50分くらいから掃除を任せよう)

茂みに着地して音を殺してから、部屋を見る。もちろん、電気は消していない。

少し歩いた駐輪場にとめた黒の大型バイクに鍵を差し込み、エンジンをかけた。フルフェイスのヘルメットをして、走り出した。

「尋斗、どうだ?」

『順調だよォ。尾行がバイク二人。でも遠いね』

「二人か。俺はバイクに乗ったばかりだ。十五分で着く。十五分だ。いいな?」

『りょォかァい!』

このピアスの会話は三人目にも届いているから改めて蓮に状況を説明する必要はない。不要な場所で入ってくると話がややこしくなったり、集中力が切れるから皆必要な時だけ口を開く。

それに、車とバイクには発信機をつけたから蓮からも俺達の居場所を確認できる。

(尾行が二人)

榊がクラブにいるから、尋斗を尾行している二人は必然的に他の二人の受験者になる。

(そこに清宮がいるかどうか…)

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騙し合うこのゲームは、
本気で惚れた方が負けなのだ。