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2.


清宮が来たらなんて言おうか。

俺もお前に本気だでもないし、俺と付き合ってほしいでもなんか違う気がする。何時間か電車を乗り継いだものの、正直に言って予定は全くと言っていいほど考えていなかった。

お前が好きだ、本気だ、と言うのはあまりにも脈絡がなさすぎる。付き合ってほしい、と言って、あの告白を受け入れたのは本心じゃないのか、と返されるとどう答えるべきか分からない。

ただ、清宮が本気だということはもう疑わない。もうその本気から目を逸らしたくもない。

そうだ。清宮は最初から本気だった。

TCCEの任務内容が通達されたのは一ヶ月ほど前でしかなかったのに、清宮は一年も前から店に通って、俺に会いに来続けていた。

辻にキスを邪魔された時、不機嫌になった。

クラブに来た時、二人で眠ったこともあった。俺だけではなく、清宮だって無防備に寝顔を晒して熟睡していたんだ。…俺の傍が心地よかったんだろうか。俺は清宮の傍が心地よかった。

データを奪った罪悪感から、最後の金曜日は店の前まで来たのに帰ってしまった。もっと奪える、とは考えなかったんだろうか。

最後は銃からもナイフからも逃げなかった。それは、たとえ俺が本気で殺しにかかろうとも逃げも避けもしなかったんだろう。

自分の合格の可能性を下げてまで、仲間を騙して裏切ってまで、俺を庇うためだけに折角手に入れた情報を提出しなかった。

最初から最後まで、清宮は本気だった。

(もう疑えるものもないだろ)

とりあえず、清宮に会ったら、

(合格おめでとう、って、)

それからあの小生意気な後輩が呆然としている間に、この胸を占める温かい感情を全部ぶちまけてしまえばいいか。結局、計画は一番杜撰で単純なものに落ち着いてしまった。

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騙し合うこのゲームは、
本気で惚れた方が負けなのだ。