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10.


辻は若干引いていたものの、蓮が勝手に調べたと言えば白けた眼差しは蓮の方に行った。

そこから同志を見付けた俺と辻は盛り上がりに盛り上がり、あの女優の良さを語り尽くした。立花も蓮と同じ女優が好きだったらしく、大型犬と中型犬が戯れている感じで話を弾ませていた。

因みに、尋斗は一人で寂しく不貞腐れていた。自分が好きな女優のライバル女優のファンである恋人と後輩を見ていじけ、勝手に恋人と盛り上がる後輩を嫉妬の眼差しで見ていた。仲がいい二人だが、好きな女優ばかりは互いに譲れないらしい。

尋斗を放置した四人は語りに語って、結局、試験の話は適当に済ませて女優が本題みたいになったが、後悔はしていない。

そして、そろそろお開きになろうとした時、給湯スペースにティーカップを戻し、辻がフルーツを食べ終えた皿を持ってきてくれたところで、俺はずっと気になっていたことを口にした。

「データ、一つも提出しなかったな」

辻は恥ずかしそうに頬を掻いた。

「お恥ずかしながら一つも奪えなくて」

辻に手伝わせたのはわざとで、俺が辻を呼び出したようなものだった。この話は、できるだけ大勢の前ではしたくない。

蓮と尋斗は知っているものの立花が知れば怒るかもしれない。その点、辻は落ち着いているから二人きりで話を聞きたかった。

「そんなはずはない。確かに一つ奪われた」

「最後の最後に奪ったデータは、ウィルスで破壊されてしまって…、見れなくなって…」

「それじゃない。俺が言っているのは22日の夜に清宮がUSBから奪ったデータだ。…あれはウィルスも何もない無傷のデータだった」

辻が、はっ、と息を呑んだ。

「まさか、…知らなかったのか?」

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騙し合うこのゲームは、
本気で惚れた方が負けなのだ。