3.
最後に清宮だ。
こいつは演技の天才だ。
どうやって人に接触すれば警戒されず、どういう行動で僅かな違和感もなく目的を達成できるのかを知っている。自然に行動するために幾重もの伏線を張るから努力を惜しまないタイプでもある。
また、演技もさることながら人の心を把握し、誘導するのが上手い。心を見透かしているように動くそれは、まるで読心術のようだ。
警戒心が強く、準備を怠らない。15日の夜は清宮のアリバイを疑っていなかったが、念入りにホテルの監視カメラの映像まで捏造した。
戦闘能力も高く、いざという時に勝負に出る強さもある。もちろん、先に辻を情報を持たせて逃がすあたり、清宮も仲間思いなんだろう。
情報収集能力も合格だ。俺のUSBメモリーのセキュリティを破壊せずに、すり抜けるように巧みにかいくぐってデータを奪ったのだから。
この三人のチームワークも文句なしの合格。
廃ビルで取り引きした夜の追跡やアリバイ工作も、昨日の夜に二階にデータを奪いに来たのも、それぞれにそれぞれの役割があり、見事にそれを果たしたから行えたものだ。
誰か一人が失敗すれば計画全体が崩れるプレッシャーの中で、本当によくやった。
互いにフォローしあい、互いに信じあい、最後まで誰かを蹴り落とすことはなかった。
辻が立花にタバスコ入のカクテルを教えた時も、清宮が辻を逃がした時も、仲間意識があったからこそなんだと思う。
つまり、
(一人残らず合格にしてやるよ、後輩ども)
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騙し合うこのゲームは、
本気で惚れた方が負けなのだ。