7.
(60点。もっと頑張れよ)
だが、ここでは言ってやらない。
この状況で俺がすべきことは三つだ。
一つ、騙されたふりをすること。
演出の下手さが本当に努力不足によるものであれば可愛いが、万が一の可能性に、榊もこちらを試そうとしているのかもしれない。
考えなしに矛盾を指摘して洞察力がそこそこある、あるいは店が情報屋を抱えていると思われてしまえば彼らの行動は慎重になるだろう。それは面倒くさいから避けたい。
二つ、清宮が協力者かどうか判断する。
外部の人間に助けを求めるのは反則だ。
よって、可能性は二つに分かれる。清宮も受験者で二人は手を組んでいるか、それとも何も知らない外部で榊に利用されているか、だ。
清宮グループの御曹司の秘書がこんな若い奴なのは不自然だ。それに、清宮が店に通い始めて一年になるが、俺は今まで榊を見たこともなければ話を聞いたこともなかった。
つい最近配属された秘書だ。
三つ、榊を店に受け入れる。
試験監督としては癪だが、騙されたふりを貫くなら酒の弁償を求めなければならない。
榊をここで働かすのは決定事項だとして、そこそこ敷居の高い店だし、犯罪に手を染めている設定なら部外者の介入を嫌がるだろう。
つまり、拒否をして、渋って、最後には嫌々ながら仕方なく受け入れるのが自然だ。
(待ってろ、後輩。たぁっぷりいじってやるよ。プラチナの恨みは忘れないからな…)
苦労して手に入れた酒なのに。
誰かに買わせてちゃっかり飲もうとしてたのに。
こっそりすごく楽しみにしてたのにっ…!
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騙し合うこのゲームは、
本気で惚れた方が負けなのだ。