4.
俺は清宮の言葉を信じられるだろうか。
…無理だと思う。
それはまるで誰かから贈られたプレゼントのように、どれだけ包装が綺麗だとしても中にナイフが仕込まれていると分かってしまった途端に、期待なんてものは容易く消え去ってしまう。
「心に従って行動すべきだと思います」
ふ、と嘲りのような笑いが出た。
「信じられないから全て終わるだろうな」
「…信じられるか信じられないを決めるのは理性だとして、感情では信じたいんですか?それとも、信じたくないんですか?」
「信じられないものを信じたいとは思わない」
「そうとも限りません。…ですが、失恋しちゃったなら失恋パーティーくらいは用意しますので、安心して当たって砕けちゃってください」
当たりに行くなら砕けろとは言わないでほしい。そもそも、当たりに行くどころか、これ以上泥沼に沈まないうちに身を引くつもりでいる。
甘い夢だった、ともう整理はついていた。
「じゃあ、失恋パーティーよろしく。ったく、尋斗と同じこと考えるよな」
「それはどうも」
「褒めてないし。…ありがとな」
プシュッ、と缶コーヒーを開けて口に流し入れる。ミルクもシュガーもたっぷりと入っている俺の好きなコーヒーなのに、いつもよりずっと苦くて思わず顔を顰めてしまった。
舌が痺れるような苦さは喉まで続いているようで、長く長く顔を顰めていた。
俺はいい仲間を持った。
先輩として、試験監督として、あの三人にはこれからも互いに協力し、互いに支え合う無二の仲間になってほしいと願った。
それ以外の感情は、何もない。
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騙し合うこのゲームは、
本気で惚れた方が負けなのだ。