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2.


「…嫉妬もしてるんです」

その言葉に肩が小さく跳ねてしまった。

演技の必要もないのにキスをして、あんなに強引に迫ってしまった。しかも、立花と榊が勘違いをして尋斗を殴ってしまった。友人の恋人に手を出した俺に、こんな状況を生み出した俺に、きっと心から怒りを感じるのだろう。

「だから、これで許してあげます」

「っうぇ!?」

だが、こっぴどく怒られるという俺の予想に反して、怒りの色をなくして逆に楽しそうな声と共に、額を強く指で弾かれた。

一般的にはデコピンと呼ばれるそれは全くの不意打ちで、鳩が豆鉄砲を食らったかのように目を丸めて呆然としながら蓮を見た。蓮が耐えきれずに笑いだした頃、やっと額が軽く痛みはじめる。

「ふは、…っく。あのね、コウさん、ヤケになっている人に本気で怒るほど俺は子供ではありませんよ。これでもあなたより年上です」

「…え?」

「あなただって本気じゃなかったでしょう?」

「まぁ、そりゃあ、」

楽しくてたまらない、とでも言いたげな表情をした蓮は笑みを隠すように手で口元を覆ったが、目と声色は思いっきり笑っていた。

一歩引いて普通の距離を取り戻してくれる。細まった目は、実は最初から怒っていなかったんだとはっきりと教えてくれた。

「ですが、そうビクビク怯えられるといじめたくなっちゃうんです」

「怯えてなんか…!」

「怒られる、って思ってたんでしょ?」

「……思ってた」

蓮がまた笑う。今度は優しく俺の頭を撫でた。

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騙し合うこのゲームは、
本気で惚れた方が負けなのだ。