4.
一ヶ月とはいえ金曜日にしかクラブに来ないんだから、実際には四回の接触だった。だが、あの男が四回もの接触で心を奪えなかった人間は、いまだに聞いたことがなかった。
明日は金曜日。五回目、そして、ラストの接触。慧がどう出るのかは分からない。
だが、それよりも、
「残り四日、いや、日付け跨いだらラスト三日ッス!なのに、データが一つもない…。ふ、不合格まっしぐらッスよ、これ」
「…かなり本気でやばいですよね、はは」
「笑いごとじゃないッス!」
万策尽きた、とはまさにこのことだ。
店のセキュリティを突破しても目的の情報がない。二階に上がろうにも用事がなければ警備員が許してくれない。取り引きに立ち会おうとすると巧みに部屋から追い出され、拳銃売買の現場を押さえようにも戦っただけで収穫なし。
おまけに、甘い蜜で獲物を釣ろうとした誰かさんは逆に自分が溺れてしまっている気がする。
「不味いですね。…仕方ありません。コウさんには悪いのですが、」
背に腹は変えられない。
どうか悪く思わないでほしいが、無理だろう。
「強行突破しますよ」
日付けを跨いだら残りは72時間。
タイムリミットはすぐそこまで来ていた。
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騙し合うこのゲームは、
本気で惚れた方が負けなのだ。