Homeopathy | ナノ
×
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -

2.


思わずトレーを落としてしまって、その音で顔を出した立花は私が反応するよりも早くに飛び出して、あの男を殴り飛ばした。

客だった、とか。

あの夜に戦ったヤクザだ、とか。

コウさんも仲間だ、とか。

そんなことは関係ない。守ろうとした感情に、行動に、理由なんてものは必要ない。

同い年なのに、コウさんが頼もしかった。あれこれ指示を出しながらテキパキと働く姿は同い年だとは思えず、憧れてさえいた。

(…あの人が私達の仲間だったらいいのに)

違法行為に加担しているなんて信じられない。だが、拳銃が入ったアタッシュケースを渡しているのをこの目で直接見たんだから、彼が手を染めているのは間違いないだろう。だが、

「立花、…もしかしたら、コウさんは脅されているという可能性はありませんか?」

「そッスよ!あれは絶対あのヤクザが悪いんス!楯突いたら怖いから、自分が悪いなんて言わざるを得なかったんスよ!」

「いや、そうじゃなくて、まぁ、それもありますが、…違法行為のことですよ」

「…脅されてる売人やってるッスか?」

コクリと頷けば、立花の表情が険しくなる。

(この可能性は高いと思う)

そもそもあの若さでオーナーなのがありえない。一番可能性があるとすれば…、

「店を持つのが夢で、創立のためにヤクザに金を借りたものの返せなくなって、それで脅されて犯罪の片棒を担がされてたり、とか?」

「ありえるッス」

とりあえず、あんなに単純でか弱い人が、心の底から悪いとは考えられない。

[ 139/224 ]
prev / next
[ mokuji / bookmark / main / top ]

騙し合うこのゲームは、
本気で惚れた方が負けなのだ。