4.※
体の経験なんて腐るほどある。
プライベートでも、仕事でも。男とも、女とも。だが、俺はいつも可愛がる側に徹していて、可愛がられる側になるのは初めてだ。正直に言えば体を拓かれることに不安もある。
だが、清宮に限っては抱かれてもいいと思うのだから、恋というやつは本当にどうしようもない。
「は、ぁ…!」
下を触っていた手は優しいのに、その優しさが焦れったくて物足りない。指先で形を確かめるように触れて、強めの力で全体を揉まれて、火がついた頃にまた内腿に逃げていく。
もう片方の手はシャツの下に潜り込んでいて、乳首に触れる。クルッと円を描いて、悪戯っぽく潰して、不意打ちのようにキュッと掴む。感じるわけじゃないが、くすぐったい。
シャツはとっくに開け放たれていて、清宮が襟元を噛んで強く下に引っ張れば、首から肩にかけて大きく肌けてしまった。
右の肩に清宮の吐息がかかる。ちゅ、ちゅ、と遊ぶようにキスされていると思うと、いきなりピリッとした痛みが走った。
「やめろ。跡を残すな…!」
「嫌だ、って言ったら?」
「慧っ、」
今度は後ろ首を思いっきり吸われてしまった。
本当に刺すような痛みだったから、先程のものよりはっきりと鬱血しているだろう。もしかしたら二、三日じゃ消えないのかもしれない。
(この野郎!)
悪びれた様子もなく、次々と跡を残される。ただでさえ夏で薄着をするのに、際どいところに狙ったように跡を刻み込んでくる。
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騙し合うこのゲームは、
本気で惚れた方が負けなのだ。