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「#エロ」のBL小説を読む
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14.


まっすぐ俺を見詰める色素の薄い目。

明るい暗闇の中で満月に照らされて煌めくその目は、いつもよりずっと綺麗だ。ずっと見ていたくなると思った自分に、呆れすら浮かんできた。

(どれだけ惚れているんだ、まったく)

思えば、清宮といて俺が主導権を握ったことなんてなかった。いつもこいつのペースに呑まれて、俺はペースを乱されて、気が付けば流されてる。

そして、ついに絆されて好きになった。

(悔しい、)

だが、清宮の告白を受け入れるしか出来ないことが、もっともっと悔しかった。

いつも堂々としているくせに、遠慮なんて知らないという顔で容赦なく自分のペースに引きずり込むくせに、俺の返事を待っている清宮はこの時ばかりは待てを言いわたされた犬のようだった。

(俺にどうやって断らせるつもりだ!)

もう開きなおるしか道はなさそうだ。

「ホストと客の関係はもうナシだ」

「なら、今後は?」

「言わせるなよ。…恋人に決まってるだろ」

と、言った瞬間に雨が降ってきた。

叩きつけるような土砂降りの雨だった。

夜空を見上げれば、先程まで綺麗だった満月は厚い雲に覆われていた。車に戻ろうとするのに清宮は俺の返事に呆然としていて、雨に打たれるまま俺から視線を逸らさない。濡れた髪が、肌に張り付いたシャツが色っぽい、とか思ってる場合じゃない。

そして、ハッと我に返って俺を引っ張る。

「車まで走るぞ!」

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騙し合うこのゲームは、
本気で惚れた方が負けなのだ。