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7.


清宮といろんな話をした。

普段クラブで口にしているような色気のある甘い言葉ではなく、何気ない日常の話。

五月あたりに近所の野良猫が仔猫を産んだ。親猫によく似た白い仔猫達は元気にすくすく育ち、遊んであげたら食べ物をねだって擦り寄ってくるまでに懐かれてしまったこと。

仔猫達が可愛くて、だが、親猫がいるから飼えなくて、自分でも猫を飼おうと会社で雑誌を見ていたら、仕事をしてくれと榊に泣きつかれたこと。

それでも諦めずに、時間があれば榊に内緒で近場のペットショップを回っていること。

朝のランニングでテラスのお洒落なカフェを見付けたこと。お勧めのトーストが本当に美味しくて、朝はよくそこで食べるようになったこと。

書店でたまたま手に取った小説がとても面白かったこと。今度それが映画化されるらしいから、楽しみで楽しみで仕方ないこと。

本当にいろんなことを話した。

クラブでは話したことのない話題ばかりだった。

今まで見たこともない清宮の別の一面を見たように話が楽しくて、最初の沈黙が嘘だったように話題は話しても話してもなくならなかった。車が走り始めてどれほどたったのかも分からない。

いつの間にか高速道路を下りて、普通の道路で走るようになって、赤信号で止まる。笑っているとカシャッとシャッター音が聞こえた。消せ、と言っても清宮は聞かなくて、青信号になったらしく車がまた走り出す。

運転中の奴に絡むわけにもいかず、アイマスクを取ろうとするとダメだと言うから、仕方なく拗ねたらまた笑われてしまった。

楽しい時間だった。

ホストと客の関係すら頭から飛んでいた。

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騙し合うこのゲームは、
本気で惚れた方が負けなのだ。