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7.


午後にもなれば陽射しが強まる。

だが、この段階になると照りつける太陽にも負けず多くの観客が集まった。イチルが動く度に女性の黄色い悲鳴が飛び、嫉妬を剥き出しにした男性陣の睨みも飛ぶ。

イチルが不機嫌になって、無愛想を全開にすればそのクールさにまた黄色い悲鳴が飛び、睨みも飛ぶ。終わらない悪循環だ。

『もうちょっと愛想良くしたら?』

ヒク、とイチルの口角が引きつった。

「こんな感じに?」

ニヤリ、と笑って見せられたが、城を出てからのイチルの行動を見ている俺からすれば、その笑みにどす黒さしか見付けられない。というか、完全に目が笑ってない。

なのに、それでも黄色い悲鳴が飛ぶ。だが、次の瞬間、イチルが睨み返せば黄色い悲鳴は男女関わらず恐怖の悲鳴に変わった。

そして、沈黙。

静かになったことで満足そうにして、イチルは改めて午後の対戦相手を眺めた。

一言で言うと、筋肉。体のあちこちが隆起しているマッチョはイチルよりも遥かに背が高く、脳みそまで筋肉で出来ているみたいだ。スキンヘッドが反射しすぎて眩しい。なのに、目はつぶらだ。

因みに、先程から観客席に向かってポーズを取って筋肉を自慢しているが、女性の視線はイチルにしか向かないから、殺気を漂わせながらこちらを睨んでいる。つぶらな涙目だ。

彼の聖獣は…、と確認しようとしたが、目に飛び込んできた聖獣に飛びあがるほど驚いた。実際に、ちょっと飛んでいたかもしれない。

『猫だっ!!』

「猫だな」

ピンク色の猫は俺を見て舌なめずりをした。

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王には世界を守る義務がある。
そして、俺にとっての世界は君である。