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4.


あの後、もちろん、男の子は拗ねた。

だが、男なら潔く勝負の結果を受け入れろ、とイチルが言う資格もない言葉を言えば、泣きそうになるのをこらえて走っていった。その際、花がイチルに向かって葉っぱを振っていた。

次の試合は午後だから一度宿屋に戻って、昼過ぎにまた来た。そして、再びフィールドに立った俺は二度目の絶句をした。

(え、何あの疲れたサラリーマン!?)

ひょろっと痩せた体を猫背に丸めていて、目の下の隈がひどい。太陽の位置をちらちらと気にしている彼は、現代みたいに腕時計があったなら絶え間なく時間を確認していただろう。

そして、腕にやたらと肥えた雌鶏(めんどり)を抱えていた。しかも、睫毛が長い。

「もう開始の時間ですが…」

『コッケー!なぁによ、あのイケメン!?やぁだ、素敵!あらまぁ、この小さい子も可愛いわねぇ。きゃあ、目が合っちゃったわぁ!コッケー!かぁわいいわぁん!いやぁああん!!!』

もうイチルまで引いていた。

「明らかに契約する聖獣のチョイスミスだろ。性格が合ってねぇどころか、もうストレスの原因はその鶏じゃねぇの?」

『言ってること分かるの?』

「いや、コケコケとしか…」

『通訳しようか?』

「やめろ」

開始の合図と共に二人で脱力した。

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王には世界を守る義務がある。
そして、俺にとっての世界は君である。