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最弱のコンビ


月が出て、沈んで、日がまた昇った。

腹が減っては戦はできない、と言って昨日の夜はいっぱい食べた。所持金を考慮して節約して食事するべきだとも思ったが、なんだかんだ言って俺もイチルが、…いや、違う、俺達が勝つと信じていたならとめなかった。

小鳥の姿になってからは果物や木の実を食べていたが、やはり前の世界での食生活は残っていて、大口を開けて鶏肉にかぶりついた。

…その際に、ありえないものを見る目をされた。共食い、と衝撃的な表情で呟かれたが、無視して気にしないことにした。

そして、今、俺達は初戦のフィールドに立っている。

朝の太陽はまだ完全に登っていないものの、充分な光となってフィールドを照らす。初戦だからか、観客はちらほらとしかいなかった。

『イチル、お腹が重い』

「朝から食い過ぎなんだよ、お前。それだからぶくぶく肥えるんじゃねぇか」

『…はは、』

昨日の夜、俺達が立てた作戦は簡単だ。

相手に降参と言わせるのと戦闘不能にするのは難しい。だから、指定場所から出すこととプレートを奪うことに集中する。

当たり前のように魔法を使ってくるだろうから、近距離は危険だ。遠距離で戦えば攻撃が飛んてくるまでに時間があるし、相手が勝手に的を外してくれる確率は大きい。

だが、それじゃあ剣が使えないから、結局危険を承知で接近戦を行うしかない。

ならば、具体的にどう戦うか。それは臨機応変らしい。つまり、予定は未定、計画はない。

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王には世界を守る義務がある。
そして、俺にとっての世界は君である。