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4.


そして、二つ目。

魔術学校の設立。

ひとまず城を校舎として使おうと思案したが、俺とフェニックスが一部を破壊してしまっていた。修復の費用もなく困り果てた時、諸国の貴族や良家から使者が送られてきた。

曰く、尊い風の始祖様が設立なさる学校に寄付をさせていただきたい、と。

だが、上手い話には裏があるというもので、貴族達の本当の目的は寄付を通して入学の権利を得ることだった。早い話、裏口入学。

新設の学校に志願者なんて、と思っていた俺が甘かった。博識の王という呼び名は俺が思っていた以上の影響力を持っていたのだ。子息の教育と学歴のために、貴族達は必死だった。

で、あまりもの執拗さにイチルがキレた。

ご厚意感謝する。開校が決まり次第改めて連絡する。と寄付金だけはたんまりともらって使者達を追い返した。とてもいい笑顔で。

因みに、最後に追い出された使者の聖獣は、なんと言うかタイミングよくカモだった。俺とホーリエは必死に笑いを耐えていた。

カモだ。契約主と契約聖獣揃ってカモだ。

そして、使者と移民申請に疲れきったイチルは、自暴自棄で思い切った通達を出した。

移民審査なし、住民登録して好きに住め、と。

面倒臭かったのだ、きっと。だって、数百通もの申請書には熱意がありすぎて、ラブレターみたいなものもあった。読んでいる途中から新しいものが来ては積み上がり、雪崩を起こす。

だが、この通達のおかけで住民は増えた。

日に日にオアシスは広がり、砂漠だった土地は潤っていく。籍ごと移って国民となる者も、籍を保ったまま住む者も増えていった。

初めは城で行っていた住民登録だったが、あまりにも人が多く、城下に簡易の役所を開くまでになった。長官はまさかのバジリスクで、偽の申告をすると犯されるとの噂だ。

本人(蛇?)は男前に限る、と言っているが。

住民が増え、城下町は急速に形作られていった。畑を耕して作物を作る者、商売をする者、食堂を開く者、家を立てたり家具を作ったりする者、音楽や踊りを得意とする者。

突然の移住で働き口が見付からない者や建築に携わったことがある者達には城の修復と、新たな校舎の設立を依頼した。体力仕事が苦手な者は役所でバジリスクの手伝いをさせた。

彼らの給料は諸国からの寄付金。

公務員体制の始まりで苦笑いをした。

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王には世界を守る義務がある。
そして、俺にとっての世界は君である。