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6.

※イチルside

(あいつ格好いいなぁ…、)

大空を飛び回る鳳凰に目を奪われる。

力強くしなやかな風切り羽も、揺るぎない意志を宿した翠緑の瞳も、真冬の凍てつく雪のような純白の輝きも全てが凛々しい。あの小鳥はいつの間にこんなにも成長したんだろうか。

自分の手の届かない場所に行ってしまった。

嬉しくも、…ほんのりと寂しい。

(昔はピィピィ言ってたのに)

砂漠の暴力的な暑さは、ポケットの中に残っていた優しい体温を塗り替えていく。乾いた風が全てをさらっていったように思えた。

(俺がいねぇと移動もできなかったのに、)

今ではあんなにも立派だ。

(…もし、俺がいなくなったら、)

考えたくはない。

だが、つい考えてしまう。

あいつが俺のために必死に戦っているのは知っている。自分の心も知っている。あいつと一緒に生きたい。共に時を刻むことは無理でもこの命がある限り、心臓がまだ鼓動をする限り。

穏やかな時間に浸っていたいんだ。

だが、現実はそんなに甘くない。砂粒のように小さく儚い希望を打ち砕く。足元から崩れていく感覚は底のない絶望そのものだった。

(限界だろうな)

だって、俺は、

(…タクになんて言ったらいいんだよ)

爆風を感じなかった。

炎と風のSSランク魔法が衝突したあの瞬間、凄まじい爆風が発生した。轟音と共に砂埃を巻き上げ、馬は驚き嘶き、マーメイドは遠くまで飛ばされ、ホーリエは落馬してしまった。

なのに、俺はその爆風を、

(感じなかった)

まるで体が透けてしまったように。

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王には世界を守る義務がある。
そして、俺にとっての世界は君である。