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4.

※カルナダside

「おっと、危ないね」

天地を揺るがす爆音。

だが、その灼熱の爆風がここに届く前に呑気な声が聞こえたかと思うと、黄金に煌めく鋭い稲妻が駆けていく。それは爆風を切り裂き、猛烈な風は二つに割れて私の傍を駆け抜けた。

私から離れた位置にいたイチルや他の仲間達は爆風は食らって、体勢を崩すのが見えた。叩きつける砂嵐。悲鳴じみた馬の嘶き。

だが、私だけは服すら靡かなかった。

彼らには目もくれず、目の前にいる綺麗な彼は安心したように柔らかく微笑んだ。

縦長の細い瞳孔を持つ瞳を細め、優しく紳士的に確かめるように私の頬を撫でる。馬に乗っていない彼は私を見上げ、ホッと安堵の息を吐く。上品に輝く琥珀色のピアスが揺れる。

ドラゴンの人の姿を見たのは実に十年ぶりだ。

だが、彼はやはり美しい。

人間離れした神々しい美しさだ。息を呑む暇もなく目を奪われて、彼の指先が触れた頬から痺れるような熱さが顔に広がっていく。嬉しいんだ。片想いしている彼のこの姿を見れて。

なのに、どうしてだろう。

「怪我はないね、カルナダ」

どうしようもなく、…苛ついた。

「まったく、少し激しすぎやしないかい」

呆れたように呟くドラゴンに言葉が出ない。

守ってくれたことに感謝すべきなのに、嬉しいはずなのに、どうしようもなく心の中に苛つきが募ってむかむかして不愉快だ。

私だけに注がれた優しい眼差し。愛しさのこもった眼差し。ドラゴンは至極丁寧に私に手を伸ばすと、ユニコーンの上から下ろしてくれた。そして、宝物のように繊細に触れてくる。

私は、

「僕の傍にいるんだよ。安全だか、っ、」

パチン、と、

「…カルナダ?」

その手を叩き落とした。

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王には世界を守る義務がある。
そして、俺にとっての世界は君である。