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2.

※ホーリエside

「…これが始祖同士の殺し合い」

まるで格が違っていた。

肌に滲んだ冷や汗は頬を伝うより早く蒸発し、息を吸うだけで肺まで焼かれそうだ。

風の魔法で熱風を遠ざけようとしても、今この場の風の全支配権はモチヅキが握っているようでどれだけ頑張っても発動しない。結局、冷却の氷魔法を強化したに過ぎなかった。

(得意な属性じゃないって言っても、この僕が魔法を発動すらさせられないなんて)

これが始祖の絶対的な力。

知ってはいた。だが、実際にSSランクの魔法を体感したのはこれが初めてだった。

(まるで歯が立たない。次元が違う!)

地方の小さな大会とはいえ、モチヅキを相手に戦ったことがあるのを思い出して体の芯まで冷えきった。今ならよく分かる。あの時、マーメイドがあんなに必死に許しを乞うた理由を。

(絶対に無理だ)

空を仰ぐ。

眩しすぎる空には鳳凰がいた。

風を切る力強い翼は何にも染まらない純白で、陽射しを受けて凛々しく煌めく。風の色をした翠緑の瞳。垂れた長い尾は風圧を受けているのに、どこまでも優雅で美しかった。

美しいのに、美しいだけじゃない。圧倒的な存在感に背筋が震えて唇がわななく。

彼らSSランクの聖獣は六つの属性を生み出す始祖であり、全ての精霊を従える王であり、人間より圧倒的高位に位置する神である。

つまり、今、頭上にいるのは、

「っ、」

共に旅をしてきた仲間というよりも、空気を、空を、風を支配する王だった。

鳳凰。今代の風の王。

風の絶対支配者だ。

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王には世界を守る義務がある。
そして、俺にとっての世界は君である。