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13.


王としての責務。

それはもし俺が堕ちて助かる術を失った場合、始末することを指しているのだろう。

ドラゴンの態度は、というより俺を除いた王達の態度は世界のためにイチルを生贄にすることだ。ドラゴンはそこまで露骨ではないが、フェニックスとの衝突に納得していない面はあった。

どちらかと言えば、俺の気持ちは理解できるからとめない、だが、万が一この世界に害を及ぼすようであれば王として黙ってはいない。

つまり、彼はどちらの味方でもない。

だが、もう一つ理由があった。

(…カルナダ様だ)

カルナダ様がイチルのためにここにいる。

あんなにイチルのことを大事にしていた彼が、重要なこの場にいないわけがない。つまり、

(愛する人を守りにきた)

カルナダ様が引かないから一緒に来た。

(確かに俺達と同じ理由だね)

大事な人を失い、存在しない復活の希望にすがり、記憶を持ったまま生きては死ぬのを繰り返す運命にあるフェニックス。

今日の戦いの結果で最愛の人の生死が決まり、彼が生き延びたとしても結局一緒に年を取り、一緒に息絶えることのできない俺。

最愛の人に人間として幸せな時間を送らせるべくひっそりと想いを殺し、だが、やはり傍で護りぬこうとするドラゴン。

フェニックスとの衝突がなかったら語り合って、この現実に対する不満をぶちまけたいところだが、世界はそんなに優しくない。ドラゴンはまだしも、俺とフェニックスの衝突は必至だ。

言わなくても、はっきり分かること。

「はぁ…、ならば手は出すな」

「分かっているさ」

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王には世界を守る義務がある。
そして、俺にとっての世界は君である。