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4.


馬の走る振動が心地いい。

今は西へと向かっているが、すぐに着く。下手をすれば戦闘へともつれこむが、仲間達が頼もしくて不安なんて綺麗に消えていくようだ。

「なぁ、タク、この戦いが終わったら、」

『なに急に。というか、そんなフラグみたいなのやめてよ。俺聞きたくないんだけど』

「真面目な話なんだ」

『…何?』

イチルが少し後ろを見た。

その視線の先にいたのはカルナダ様だった。一度口を噤んで躊躇う素振りを見せたが、イチルは意を決して静かに、だが、はっきりと迷いのない強い口調で衝撃的な言葉を言い放った。

「兄様に俺を王家から除名してもらう」

一瞬、反応ができなかった。

何を言っているんだ、と。

『は?除名?』

つまり王族という身分を失って平民となるわけで、俺の記憶が正しければ滅多な理由で除名となるはずもない。状況が呑み込めなくて唖然と彼を見上げれば、ゆっくりと言葉が続いた。

「兄様に頼んだ」

『…カルナダ様は承諾したわけ?』

「答えはまだもらってねぇんだ」

『ダメじゃん。…そもそもどうして除名?』

カルナダ様が承諾するとは思えない。

「王位争いとか面倒なことは色々あるんだが、…まぁ、そうだな、一番の理由は、」

王位争いがひどいとは思えないが。

イチルは王位には興味ないだろうし、それば二人で話し合えば無事に解決できると思う。イチルが王にならなくてもカルナダ様を支え、共に国政を担っていく形にもできるだろう。

なのに、どうして。

俺のその疑問を解決してくれた言葉は王家としてはちょっとだけワガママだったけど、とてもイチルらしくて俺を納得させてくれた。

「もっと俺らしく生きてぇって思った」

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王には世界を守る義務がある。
そして、俺にとっての世界は君である。