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3.


頭の上から飛び降りる。

「(ねぇ、あの水晶は何?)」

蝋燭、水、金の針については知っている。イチルと一緒に本で読んだことがあった。

今のように召喚と契約は一括りにされることもあるが、正確には異なる二つの魔法だ。目の前に契約したい聖獣がいた場合、わざわざ召喚しなくても契約に持ち込める。

この二つの魔法だが、召喚の方が圧倒的に難しい。しかも、今回は六つの属性から不特定の聖獣を呼び出す。

召喚の条件は一つ。属性が全て揃うこと。

時間は光と闇が混じる夜明けか黄昏。他の四つの属性はそれぞれの方向に置く。北に氷の器に張られた水。南に金色の針、これは雷だ。西に蝋燭、つまり、火。東には何もない。空気、風だ。

だが、水晶は必要ないはずだ。

『あれは制御石。この場の魔力が一定量を上回った場合、魔力を吸うのです』

「(え、それじゃあ万が一イチルが魔力を出せたとしても無駄になっちゃうの?)」

『いいえ。Sを上回る魔力でなければ効果は出ません。人間に扱える力はSまで。カルナダ殿が本気を出したとしても発動はしませんよ』

「(なら、どうして置いたの?)」

『暴走を防ぐためでしょう。大丈夫ですよ。雷の王だってこの場にはおりますから』

その時だった、空気がピリッと張り詰めたのは。

イチルは一人で中央に立っている。カルナダ様とレイロさんは脇へと寄っており、緊張した表情をしている。ドラゴンはカルナダ様から離れ、金色の針の後ろにいた。

それを見て、ペガサスはもう一度頭を下げてから早足でレイロさんの元に向かった。

(いよいよ、召喚が始まるんだ…!)

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王には世界を守る義務がある。
そして、俺にとっての世界は君である。