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4.


「…いいだろう」

どれくらいの時間が経ったんだろう。

最初に沈黙を破ったのはカルナダ様だった。端整な顔を苦虫を噛み潰したように顰めながら、搾りだすように言う。その一言が本意ではないと、とても簡単に見て取れた。

「契約の儀を行おう。私とレイロの立ち会いのもとで、だ。契約した聖獣を見て、許可するかどうかをもう一度考えよう」

「いつですか」

「早くて五日後だ」

「兄様もレイロも明朝暇だったと記憶してます」

「イチル、明日の朝はいくらなんでも早すぎる。心の準備をする時間が…、」

そこまで言って、カルナダ様は口を閉じた。

決意を秘めたイチルの目に何も言えなくなったんだろう。だが、城の外で生活したこともない王子様をいきなり放り出すのは心配で、賛成しないことに理解も納得もできる。

何より、カルナダ様はイチルを大事にしたいんだろう。だが、それでも、カルナダ様は一度耐えるように長く目を閉じた後、呟いた。

「…分かった。明朝だ」

「儀式の後、すぐに出発します」

「相手の聖獣が強かった場合は、だ」

暗にランクが低かった場合は許可しない、と言っている言葉を無視して、返事をしないままイチルは俺を摘み上げると、ポケットに放り込んだ。

イチルのポケットから見えたカルナダ様はそれを咎めもせず、寂しそうに眉を寄せた。

「では、失礼します」

「あぁ、」

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王には世界を守る義務がある。
そして、俺にとっての世界は君である。