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4.


その時、膨らんだ胸がもぞっと動いて、ひょっこりと何かが顔を出した。

『ぷはぁ、』

俺が胸だと思っていた部分は実際には女性の胸ではなく、この生き物だったようだ。マントの中にしがみついていたそれは頭に外を出すと、黄金色の鱗で覆われた耳をぴょこぴょこと動かした。

久々の光を浴びて、眩しそうに細まる黄金色の大きな目。立派な二本の角。欠伸で大きく開かれた口から見える鋭い肉食の牙。

ぱちり、と彼は俺を見て瞬いた。

『おや、同胞(はらから)じゃないか。…長らく見ないうちにこんなに立派になって…、』

俺を同胞と呼ぶのは一人しかいなくて。

彼はマントから外に出ると、ユニコーンの背の上で伸びをするように悠然と翼を伸ばした。先に飾りのような大きめで僅かに透けた鱗のついた長い尾が、機嫌良さげに揺れていた。

「ドラゴン!」

『あぁ、お久しぶりだね』

「久しぶり!…ってことは、この人は、」

パサッ、とフードが脱がれる。

ドラゴンを連れていると言えば一人しか思い浮かばなくて、目に飛び込んできたのは俺が思っていた通りの人物だった。

『カルナダ様…!!』

光を受けて輝く金髪は決して派手という印象ではなく、上品な華々しさを醸し出す。

瞳は深海を切り取ったような濃くて澄みきったサファイアであり、だが、そこに滲むのはイチルよりいくらか落ち着いた知性だった。成熟した大人の色香を含んだ高貴な青色。

イチルの兄であり、軍事大国セットレイア王国の第一王子であるカルナダ・セットレイアは、

「やぁ、こんにちは」

最後に会った日と変わらない堂々とした風格で、俺の目の前にいた。

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王には世界を守る義務がある。
そして、俺にとっての世界は君である。